介護生活56 いよいよ入所の日
<2019年9月19日 私から長男へのレター>
さて、いよいよおじいちゃん(父)、老人ホームの入所日です。
「伯母の骨折のリハビリが完全に終了するまでの仮の宿」、「おじいちゃんにとってもここはリハビリ施設」というしっかり「表向きの理由」でのスタートです。
「本当に戻ってこれのるか?」は、正直、当時からあまり現実的とは思えなかったのですが、とにかく私達夫婦はこのような大義名分でもないと、おじいちゃんを気持ちよく老人ホームに預けることなんてできませんでした。
調達した家具や衣類、その他もろもろは既に前日までに搬入済み。ニトリで買ったいくつかの家具は組み立てなくてはならなかったので大変でしたけど。。。
車での移動となるので、最後の身の回り品を車に詰めて、旅行に出かける感覚で家を出ました。
あまり覚えていないのですが、当日は平日だったのでしょうか?
今生の別れでもなく、1~2週に1度は会いに行くことを想定していたので、子供達やかみさんなどのお見送りは無かったような。。。
そう、検査入院に行くような感じで、2人で1時間ほどのドライブとなりました。
車の中では、もう一度、ホームに入る目的や、何度も会いに行く約束を。。。
その内、「お前とドライブなんて久しぶりだなぁ~」なんて泣けてくる事を言うし。
私が免許を取って、初めておじいちゃんとドライブに行った城ケ島の思い出や、大学時代、大阪に遊びに来てくれた時に車で六甲山を登った話などをして、楽しいひと時。
途中、「冷蔵庫は買ったけど、ビールをまだ買ってなかった」という話になって、「買ってこい」というので酒屋さんに車を停めてビール1ケース。もちろん、プレモル。
その間も、「これからどこへ行くんだ?」とか、「そうか。。。でも一人は寂しいな~」とか、「まぁ、おまえの言う通りにするよ」とか。。。
そうこうしているうちに老人ホームに着きました。。。
荷物の出し入れもあるので、エントランスに車を停めると。。。
おじいちゃん、「おお、ここは介護付き有料老人ホームの〇〇なんだな?」っと。
おーい、「老人ホーム」はNGワードでずっと口にせず、「リハビリ施設」とか言ってごまかしていたのに、結局、表札に直球で書いてるやん!
私も何事もなかったように。。。「そう、新築で綺麗でしょう? まぁ、中に入って!」と急かします(笑)
中に入ると施設長とケアマネさんが満面の笑顔で出迎えです。
おじいちゃんはチヤホヤされると100倍の笑顔を返しますので、お二人の歓待を受けてなんとなくスッとこの老人ホームになじんでしまったのでした。。。
部屋に通すと、
「ほー、ここで寝るのかーっ」と早速布団に座ったり。。。
「ほー、新しい机と椅子だな。お前が買ったのか?」とか。。。
「ほー、冷蔵庫は小さいな~」とか。。。
けっこう、すんなり。
怖いくらい、すんなり。
施設長やケアマネさんとは、おじいちゃんが「何だここは!閉じ込めるつもりか~」とか、「家に帰りたい! 戻せ~」とか、「ひとりは嫌だ~」とか、ちょっとは取り乱すと最悪の事態を予想し、いろいろと言い訳を用意していたのですが。。。
おじいちゃん、直近の記憶が無くなるの功を奏したか、はたまたホテルのようだと思って施設の設備が気に入ったのか、はたまた長年の入院&お見舞い生活に慣れてしまっていたので、今度も入院だと思って全く違和感を感じなかったのか。。。
あっという間に、居住の準備が整ってしまったのです。。。
私もまた来週来るつもりもあったので、特に長居もせずに直ぐ退散。おじいちゃんも手を振ってお見送りとなりました。。。
こんな、初日でほんとにいいのだろうか???
と、ここまで書いて前に座るかみさんに、「この日、俺一人だっけ?」と訊いたら、「私も一緒に行きました!」っと怒られました。。。
忘れていたのではなく。。
そう、それほど緊張していたので、当時の記憶が飛び飛びなのです。
ごめんなさい。