相続税15 土地・建物の登記簿変更
<2021年9月25日 私から次男のレター>
さて、長かった相続税編もこれが最終回です。
前回は銀行、郵便局からの相続手続きについて紹介しましたが、今回はいよいよ最後の仕上げ、土地建物の登記簿の名義変更です。
遺産分割協議書により、我が家の場合は土地建物は全て私が相続することになったので、おじいちゃん(父)名義の持分を私に変更します。
登記簿の変更は法務局で実施します。
もともと、母が亡くなった時に土地の1/6、建物の1/3が私の持分(←だいたいの数字です)になっていたので、残りのおじいちゃんの持分を私名義に変更します。
変更はいたって簡単。名義変更の用紙に必要事項を記載して提出です。
銀行・郵便局での手続きと基本的には同じで、遺産分割協議書、印鑑証明、マイナンバーカード、おじいちゃんの戸籍謄本全事項証明書などを添えて提出します。
ここでも法定相続人が妥当かどうかを確認してましたが、小学校時代の戸籍が空襲で焼失だったので、事務の方、「8~10歳ぐらいだから子供はいないよな。。。」と(笑)
一つ違うのが収入印紙です。これは「登録免許税」と呼ばれるもので、手続き手数料と思っていましたが立派な「税金」だそうです。
しかも相続する金額の0.4%分もです!しかも「小規模宅地等の特例」摘要前の100%価格に対してです!例えば土地建物で2000万円の価値があった場合、8万円も取られます!結構、痛い出費です!
これ、相続税払った人にとっては同じ資産に対する2重税では!!っと思いますよね~。。。まぁ、相続する土地建物がを持ってるだけでありがたいことだし、この税金が世の中の役に立つなら喜んで払うべきでしょう。。。窓口の方にいくら文句言っても「法律での決まりですから」と一蹴されるでしょう(仕事ですから)。
ということで、人生初めて10万円の収入印紙を購入しました!
しばらくうっとりと眺めながら、「こんな小さい切手サイズの紙に10万円の価値があるんだぁ~」っと、しばし感動。。。そして、この収入印紙を所定の書類にピタッと貼ってめでたく提出です。
後日、厳格な審査の後、登記簿の名義変更がなされ、法務局から「登記識別情報通知」を頂いておしまいです。
なんとなく順調に進んでいるように見えますが、実はこの時、大変な間違いを発見!
なんと私の持分割合の計算間違いを法務局で指摘されたのでした。
登記簿は土地の持分の変更記録が上の欄から順番に記載されます。あくまでも変更の推移の記録なので一番下の欄の数字は現状の合計(持分割合)ではなかったのです。つまり、母からの相続した時の記録よりも上の欄に記載されていた私が既に持っていた持分を足し忘れていました(ほんのちょっとでしたが。。。)。
幸い遺産分割協議書には「故人の持分の土地建物全部相続」と記載し、具体的な持分割合の数字は記載していなかったので修正の必要はありませんでしたが。。。おじいちゃんの持分の土地建物の価格計算が間違ってるではないか!
なんといい加減な。。。やっぱり税理士さんにお願いすれば良かった。。。
実はこの時、既に相続税の申告をした後だったのです!
なので、大事件です!!!
「これは、もしかして修正申告が必要になる~」っと顔面蒼白です。。。
でも、よ~く考えたら大丈夫!
幸いな事に私の持分が少なく申告されていたので。。。
つまり、おじいちゃんから相続する持分が実際より多く計算していた。。。
ということは、土地建物の価格は実際よりも高く申告していた。。。
でもって、相続税はかからない範囲だった。。。
ということは、修正申告したって相続税は絶対にかからない!
ということで「税務署、おそらく見逃してくれるのでは。。。?」っと思ったのでした。
とりあえず登記簿の名義変更は持分の記載を修正して完了。
さて、その後、相続税申告はどうなったか?
今日の時点で3年以上過ぎていますが、修正申告も税務調査もなし!
無事に私の申告は当局の審査を通ったようです。
介護をしながら相続税の心配をするのは不謹慎とお思いかもしれませんが、そんな事はありません! 相続で遺族がもめるほど、故人を悲しませることはないと思いまし、故人の想いがきちんと考慮された相続は望ましいことです。無駄なく資産を確保する、それをきちんと分割して子孫繫栄の為に使われるのであれば、故人にとってはとても喜ばしい話のはずです。
ということで、おじいちゃんに対する介護の延長、相続税編のお話はこれでおしまいです。
次回からは義父の介護のお話を少しづつ書き進めたいと思っております。
乞うご期待!
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相続税14 銀行預金の相続手続き
<2021年9月22日 私から長男のレター>
ここまで相続税の申告の話をつらつらとしてまいりましたが、実際の相続の手続き、つまり現金や登記簿上の名義変更は相続税の申告が終るまで出来ないのでしょうか?
答えは「No」です。できます!
相続税の申告前でも遺産分割は先行して可能です。
故人の借金返済や、その他の諸手続きの支払いに、親族(相続人)に大金が必要になる時もあるかもしれませんよね。
ただ、「遺産分割協議書」の作成・合意は必須です。
法定相続人全員の相続割合の合意が無ければ、銀行や郵便局(預金の分配)、法務局(土地建物の登記簿名義の変更)は何も対応してくれません。
ということで、まずは銀行や郵便局での相続手続きについて説明したいと思います。
実はこれが結構、大変でした。。。
銀行や郵便局での相続手続きですが、なぜかそれぞれ異なった書式と方法で行うので面倒だったのです。なぜ書式を統一しないのか理解に苦しむのですが、それぞれの経験、歴史に裏付けられた緻密な(?)確認方法が確立されていて、それを簡単には変更したくないかもしれませんね。。。
必要な書類は次の通りです。
- 死亡診断書:命日の記載が重要です。以前、銀行も郵便局も本人が亡くなった事を認知するまでは取引を停止できないという事をお話ししましたが、家族が必要に応じて預金を切り崩しても、遺産分割はこの「命日」の金額で実施されるの心配ありません。
- 戸籍謄本全部事項証明書:故人が生まれてから亡くなるまでの間の親兄弟子供の全ての戸籍の流れが記載されています。法定相続人を特定するために、家族が知り得ていない法定相続人がいないかをがっちり確認します。例えば、認知した子や生き別れの兄弟・子供などです。
- 遺産分割協議書:先に述べた通りです。戸籍謄本で特定された法定相続人の合意事項が記された重要な書類です。
- 相続手続き依頼書:合意した遺産分割方法が記載されます。法定相続人との関係を示す一覧もあり、相続する遺産が誰のどの口座にいくら振り込むのかが記載されます。
- 印鑑証明書:「遺産分割協議書」や「相続手続き依頼書」に捺印の印鑑が法定相続院本人のものか確認します。
「相続手続き依頼書」は銀行毎、郵便局とも全て異なっていたため、記載が本当に面倒でした。印象では郵便局が一番面倒くさかったです。預けている物として、預金、債券、投資信託、金、貸金庫などが網羅され、それぞれ円貨、外貨、名義変更の方法で相続します。
ある銀行の書式には「外為法に基づく確認」として、「相続人関係者の中に北朝鮮に在住されている方はいらっしゃいますか?」という設問があり、「います」にチェックすると追加の確認が必要との事でした!国家的な陰謀防止でしょうか?
郵便局の書式には、「故人との関係」に死亡等の他、行方不明、相続放棄、養子、そしてきちんと「認知」というものもありました。非摘出子(夫婦関係外の子)にも認知があれば法定相続人になれるので非常に重要な権利となります。
振込手数料は振り込み時に「承継者宛振込金より差し引く」ことになります。ですので、可能ならば郵便局は郵便局へ、銀行は同じ銀行系列であれば振込料の節約は可能です。
さて、「戸籍謄本全部事項証明書」という書類はとても興味深く、手にするとドキドキします。身内に秘密があった場合、こちらでばっちり明らかになります。おじいちゃん(父)には認知した子や生き別れの兄弟などはいませんでしたが、小さい頃に何人かの親戚の養子になっていたことが分かりました。次男だったので、なんらかの理由で長男のいない親戚を継ぐ予定だったのかもしれません。。。あるいは遺産分割など何らかの理由があったのかもしれません。生前に聞いてみたかったですね。
小学校時代の一部の戸籍情報も抜けていました。理由は「東京大空襲のため消失」。初めて見る「おじいちゃんと第二次世界大戦との接点」でした。大半を消失してしまった方もいらっしゃるんでしょうね。。。。
ちなみに母方の戸籍謄本もみつかったのですが、ここにはたくさんのドラマがありました。
母や祖父母から聞いていた通り、母が満州生まれたこと、終戦後の満州からの引き揚げ時に三女が亡くなった事(享年2歳)、母がおんぶして満州から引き揚げたと言っていた四女は終戦直後の満州国ではなく中華民国(蒋介石が台湾に逃れる前の中国)の時に生まれたこと、誕生日が10月なので終戦の8月15日はまさに祖母は四女の妊娠真っただ中であったことなど。。。赤裸々に読み取れます。。。四女が残留孤児にならなかったのは奇跡ですね。
ちなみに戸籍謄本は1部7000円もします!審査はコピーあるいは返却してくれるので一部あれば大丈夫です。銀行では、これらの資料をその場で数人の銀行マンが手際よく点検し、法定相続人に問題ないかを判断します。旧字の筆記体で書かれた戸籍謄本を良く短時間に解読するものです。感心感心。一方、郵便局の場合はいったん書類を預けて数日後に結果が知らされました。のんびりしてますね。
以上、相続には贈与税も所得税も掛からないので、仮に相続税が掛からなかった場合は、現金等の相続手続きはこれで終了です!
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相続税13 税務署には3回相談!
<2021年9月18日 私から娘のレター>
「あれ?相続税申告に値しない程度の資産と確認できたら、相続税申告は必要ないのでは?」
はい。その通りです。
恐らく、私を含む多くの小市民に相続税の支払いが生じる可能性は低いでしょう。その場合は相続税の申告は必要ないはずです。。。
「あれ?はずですってどういう事?」
「小規模宅地等の特例」を覚えていらっしゃるでしょうか?
故人とその家に同居した親族といった、ある条件を満たした場合は土地価格の80%が減額されるという制度です。これによって相続税が掛からない方も多いかと思います。
でも、この「小規模宅地等の特例」は申告制です。
つまり、申告しないと効力を持ちません。申告しないと土地価格は80%減額されません。申告しないと相続税が生じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかも、「小規模宅地等の特例」も相続税の申告と同じ故人の没後10ヵ月以内です。つまり、これを行使するには相続税の申告をしなくてはならないという事になります。
ということで、今まで粛々と皆さんに紹介した事が無駄にならなかったのではと思います。
これまでの話の中で、税務署の相談で「大丈夫ですよ。でも、最終的には税務署で判断します」といった会話がったと思いますが、土地価格の複雑な計算、小規模宅地等の特例の該当可否、資産の申告漏れ、負債の中身の正当性などは、例え税理士さんにお願いしたとしても税務署がきっちり確認するそうです。
そう、税務署は「取れるところからは税金を取る」という姿勢で申告書を性悪説で審査します(それが仕事ですから)。
ということで、相続税の申告の準備です。
税務署で「相続税の申告のしかた」という冊子と「相続税の申告書」という雛型が入手できます。これらは毎年変更される最新版を使用しないと、書き直しが求められるので注意です。
私が紹介した計算方法は全てこの「相続税の申告のしかた」に記載されており、みなさんの状況での相続税も、恐らく読めば大半は判明します。
「相続税の申告書」にも記載方法が懇切丁寧に記載されていて、みなさんでも多くは記載可能と思われます。
「相続税の申告書」に添付する資料は、「相続税の申告に係る提出資料の一覧表」に記載されています(相続の内容によって異なります)。
我が家の場合は。。。
- マイナンバーとその他、身元確認書類(免許証など):本人確認に必要です。
- 故人の戸籍謄本と相続人の戸籍謄本:法定相続人が誰なのかを特定し、その人数により基礎控除の計算の根拠とします。
- 遺産分割協議書:遺産の分割方法の合意を確認します。
- 相続人全員の印鑑証明書:遺産分割協議書の捺印が本人のものかの確認です。
- 土地・家屋の固定資産税評価証明書:土地区分や家屋評価額が記載されてます。
- 土地及び土地の上に存する権利の評価証明書:土地価格の計算方法を記載した書類です。計算が正しいかを確認します。根拠となる路線価や測量の書類も添付です。登記簿も土地の持ち分(相続される割合)の確認のため必須です。
- 預貯金、貸付信託などの残高証明書:ここは次回に詳細を記します。通帳の写しを添付します。
- 生命保険などの支払い通知書:生命保険料が控除限度額を超えたか超えてないかを確認します。
- 債務一覧:未納の公共料金や病院代、葬式代などですね。領収書の添付となります。
私は税務署に通って、下書きしたものを担当の職員さんに確認してもらいました。
職員さん、相談内容を全てメモしていたので、ある意味、確認事項が記録に残るので安心でした。もちろん、「最後は申告書の中身を精査して妥当性を判断します」と言ってましたが。。。
税理士さんHPあるあるの、「税務署に相談しないでください!」は、この記録によって、後で解釈の修正が出来なくなるということかと推察します。
ということで、なんとか記載を終え、添付資料を付けて提出したのでした。
職員さんによると、間違いがあり修正申告が必要な場合、税務調査が執行される場合は、申告後2年以内との事。なので、この日から2年間は「ビクビク」と過ごすことになります。
なお、相続税申告の時効は10年。申告が無い場合でも、固定資産税額、故人の納税状況、銀行・証券会社の取引記録などを税務署は調査していますので、催促状(申告漏れの場合は追徴金も?)が来るそうです。もし催促状が来なければ、調査した結果、申告なしと判断されたという事になるかと思われます(全部調べているとは思いませんが)。
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相続税12 遺産分割協議書を作成し、結果は?
<2021年9月15日 私から次男のレター>
さあ、資産と債務がだいたい出揃ったので、これにより相続税が発生するのか、しないのか?
そして肝心の相続はどのようにしたら良いか。。。という問題に取り組みます。
まず、「相続税は発生するか?」から検討します。
「土地の価格」は既にご説明した方法で算出し、さらに「小規模宅地等の特例」に当たる場合は80%減で計算しておきます。
次に「家屋の価格」ですが、こちらはなぜか「固定資産税納税通知書」に記載の家屋の価格がそのまま採用されます。
「その他の財産」がある場合は目録と共に合計金額を算出しておきます。うちは特になしです。
そして「債務」。
「借入金」に「公租・公課」、「葬式代」、その他の「病院支払い」や「カード支払い」で肩代わりした料金を綺麗にリストにして合算しておきます。
そして「基礎控除」の準備。
「3000万円+法定相続人数×600万円」。さらに生命保険は上限が「法定相続人数×500万円」まで全額控除です。
注意が1点!
「土地価格」と「家屋価格」は故人名義の部分のみになります。我が家の場合、登記簿をみると土地は4/5、家屋は2/3がおじいちゃん(父)名義になっているので、それぞれ4/5、2/3を掛けたものが相続する部分の価格です。
さあ、これで相続税は掛かるでしょうか?
「土地価格」×故人持分+「家屋価格」×故人持分-「債務(葬式代など)」の合計が、「基礎控除」よりも少なければ見事、相続税は掛かりません!
「基礎控除」よりも高額の場合は、その超えた分に対して相続税率が掛けられ、相続税が算出されます(詳細は次回に紹介します!)。
ここまででお気づきかと思いますが、故人と同居していた方は土地価格の20%ですので、よっぽどの現金か、貴重な骨董品、高級車、宝石、マンション、土地などをお持ちでない限り、「基礎控除」を超えることは無いと思います。なので、故人との同居は実はとても重要なのでした。行政、なかなかやります!
また、「基礎控除」が十分大きい場合、「その他の財産」を細かく申告しても「基礎控除」を超えることはないので、詳細な算出は必要なさそうです。
さらに「税務調査」は、よっぽど高額な申告漏れ、恐らく5000万円とか1億規模でないとほぼ無いと考えます。「税務署は取れるところからがっぽり取る」という姿勢と推察します。
税理士さんのHPでは「3割の方が税務調査を受けます!是非、税理士へ相談!」と謳っていますが、小市民にはほぼ関係ないような気がしました。
さて、こうして算出した相続の分配はどうやるのか?
まずは「遺産分割協議書」を作成する必要があります。
その前に、予備知識として。。。
法定相続人には法的に決められた「法定相続分」が規定されています。例えば、父が亡くなった場合、50%が配偶者の母へ、残りを子供達で等分するのが「法定相続分」です。
我が家のように、母を既に亡くした状態でおじいちゃん(父)が亡くなった場合、こちらは全てを子供達で等分されます。
万が一子供がいなかった場合、こちらは血縁優先です。孫がいる場合は孫へ、兄弟がいる場合は兄弟、親が存命の場合は親に一定の等分で相続されます。
血縁優先なので、どうしても相続させたい場合は「養子縁組」するのが一番確実ですね。例えば、子連れの男性が再婚し、相手の女性が先に死んでしまった場合、男性の子は女性とは血縁関係が無いので法定相続人になれません。女性の資産の3/4が男性へ、残りの1/3が血縁関係のある兄弟やもし存命ならば実の親へ等分となります。なので、子連れで再婚した場合は、配偶者との養子縁組を忘れないように!
で、「遺産分割協議書」では全ての法定相続人が協議し、円満に合意するのでこの法定相続分には縛られません。
我が家の場合、土地建物は、本家の当主であり、伯母を生涯扶養する私が全て相続し、残りの現金を私と姉と妻(おじいちゃんの養子)の3等分としました。
断捨離編で紹介したおじいちゃんの遺言書ですが、内容が同じなので行使せずでした。苦労して作ったのに(笑)。。。
なお、遺言書が出てきて、相続配分についてもめてしまった場合も「法定相続分」が一定量考慮されます。つまり、遺言書に「あなたには相続しない」と記載があっても、裁判を起こせば「法定相続分の50%は保障」されるそうです。ゼロにはなることはありません。
ですので、もし遺産分割協議書でしっかり合意さえすれば、他の親戚や知人、愛人までもが相続可能になるわけです(笑)。なので、相続人同志は仲良くが原則!将来もめそうならばきちんと遺言書も用意しましょう!
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相続税11 その他の財産は?
No. 205<2021年9月11日 私から長男へのレター>
いよいよ、資産の計算も終わりに近づきました。
土地建物、預金、生命保険金。。。だいたいの大物は出尽くしましたが、他って何?
まだまだありますよね?現金化できるもの。。。
まずは「株」は売却すれば現金化できます。
我が家の場合は断捨離編で紹介した通り、おじいちゃん(父)がまだ元気な内に全て売却を済ませました。儲かったかどうか。。。結局分かりませんでしたが。。。
我が家は通帳を眺めて大きな金額が時々出入りしていたので気が付いたのですが、遠方に住んでいるご両親の株運用なんでわかりませんよね?最近ではネット預金からネット株取引ができるので、こういった類の運用はご両親がお亡くなりになった時にしばらく見つけることが出来ないかもしれません。。。
相続税の申告は没後10カ月以内なので、期間内に全部を調査するのが不安な場合は、元気な内にきちんと把握しておくことをお薦めします。
「自動車」
これは分かりやすいですね。10年以上乗った車まだと下取りが数万円、状態が悪いと廃車料金の方が高いかもしれません(この場合の申告って必要?)
こちらも断捨離編で紹介しましたが、おじいちゃんは車のあちこちをぶつけた末、既に廃車にしたので申告の必要はありませんでした。なので車の年式などによる査定の仕組みは分かりません。
「書画・骨董品・宝石など」
断捨離の際に「何かお宝は出てこないかなぁ~?」と期待したのですが。。。もちろん家の中に絵画や壺なんかはありますが、リサイクルショップで売っても数百円レベルのものばかりなので申告の必要はないようです。恐らく美術館に所蔵できるような高額なもの、例えば売ったら家が買えちゃうとか、車が買えちゃうとか。。。そういう価値のある物を対象に相続税が設定されているようです。
少しばかり高価な陶器(ロイヤルコペンハーゲン、マイセン、リヤドロなど)もそこそこの価格です、未使用だったり、未開封だったり、大掛かりなコレクションでなければ特に細かく申告するこ必要は無いようです。
宝石も同様で、よっぽどの貴重品でなければ一つ一つ査定をしてまでの申告の必要はないようです。お世話になった知人や、親戚に形見分けをしたりしますが、もしリサイクルショップに査定を出しとしても、鑑定価格はそれぞれ違いますし、親から「生前、譲り受けたもの」かどうかの見わけもつきませんね。。。
このあたり、税務署はきちんと心得ていて、相談に行った時は「高価なものが無ければ大体の合計で良いです」とのこと。ただし、強調していたのは、「もし税務調査があった場合に申告漏れがあると追徴金が課せられるので、そこで引っかからない程度の金額なら問題ありません」とのことでした。
で、心配ののが「なんでも鑑定団」。
「父の遺品です」とか、「祖父から譲りうけたコレクションです」とか紹介してますが、これって、例えば「2000万円です。おめでとうございます!」ってテレビで放映されちゃうと税務署が押し掛けてきて、「相続税の申告漏れ?」とか、「贈与税は申告漏れ?」とか聞かれるそうです。
ちなみに税金関係の時効は10年ですので、10年を過ぎていれば問題ありません。
他にも面白い項目は「庭石」とか「門扉」とか。。。「庭石」って、どんな価値があるのか知りませんが、通には価値があるのでしょうか?
「門扉」。。。確かに、時々お城の門のような立派な門扉の家がありますが、「あれか~」っと思いました。うんうん、立派な瓦屋根があったり、豪華な檜造りだったりと。。。これは作るのにかなりお金が掛かっているはず。わざわざ別項目で相続税を課すという事は固定資産税には入っていないのですね。。。きっと。
こちらも我が家には全く無縁な話です。
行政から入手した相続税の説明書を見ると「電話加入権」なんてのもあります!
学生時代に一人暮らしをした時にその価格の高さにお驚き(確か6万円ほど)、実家に戻った時には不正利用防止のために気軽な転売も禁止になっており、そのまま結婚生活、マンション生活でも使い続け。。。おじいちゃんとの同居を機に解約しました(実際には譲渡手続きで5千円で売買できるそうです)。
実家にあるおじいちゃんの加入権も、同居した際に携帯電話のキャリア系に変更してしまったので、申告すべき加入権は存在していませんでした。
先に述べた通り、市場価値は5千円程度なのに、相続税の申告では定価(今だと36000円)のようです。。。ここは解せませんね。。。
価値のある盆栽とか、希少なビンテージ物、単品では価値は無いけどコレクションとして揃えれば価値のある趣味の品々、残金のあるテレカ、残された古酒(ブランデーやウイスキー)、電動自転車や腕時計。。。考えると換金可能なものは色々とあり。。。
「申告すべき」はこれ、「申告してもしょうがない」のはこれっと、直感的ではわかりますが、査定額もいい加減だし、合計数十万程度ならそもそも相続税へのインパクトもないのでスルーと思いました(このあたりの解説は、また後程詳しく書きたいと思います)。
このようなうだうだな事を書いたら、生業としている税理士さんには怒られそうですが。。。(笑)
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相続税10 債務・葬儀費用は控除!
<2021年9月8日 私から娘へのレター>
次に個人が抱えていた債務(借金)はどうなるのでしょうか?
本人が抱えている借金については、そのまま法定相続人に相続され、支払う義務が出てきますので、遺産から相続税を引いた分から、その借金を返済することになります。
一方、借金が多額で、資産から相続税を引いた分でも支払えない場合はどうするか?
この場合は、相続放棄すれば大丈夫です。その代わり、本人の預金や土地建物は差し押さえられますので、事実上、遺産相続はなくなります。ただ、差し押さえられた資産よりも借金が多い場合でも、相続放棄してしまえば、法定相続人への請求はきませんので安心ですね。法定相続人が故人と一緒に住んでいた場合は、住む場所を失うことになりますが、借金地獄の落ちることなく生活ができるだけラッキーかもしれません。
おじいちゃん(父)の場合はもちろん借金なんかありませんので、可愛らしい債務でした。
例えば、「借入金」。これは先ほどの「借金」にあたりますが、おじいちゃんの場合は「立て替えたお金」と言った方が正しいです。
断捨離編で触れましたが、おじいちゃん自身の生活で使った、ガス、水道、電気代、新聞代、食費(私の家族は2階に住み、おじいちゃんは伯母と1階で別世帯として暮らしていました)、そして後半の老人ホーム代は、全ておじいちゃんが支払うよう取り決めていたので、銀行引き落とし、クレジットカード払いで、私たち家族の建て替えは無く、借金知らずでした。
こちらも断捨離編で紹介しましたが、机の引出しから出てきた現金は、おじいちゃんが幹事をしている小学校や高校の同窓会で預かった会費でした(合計20万円程度)。また、私達が同居する前に、伯母が立て替えたおじいちゃんのお酒代(酒屋の御用聞きが定期的にウイスキーを届けてました。。。)ですね(伯母の記憶では20万円程度)。これらはおじいちゃんの資産からは控除されます。
実はこれらの申告には領収書が必須ですが、同窓会の会費や伯母の立て替え分は領収書もメモの残っておらず、完全に申告のみだったのですが、税務署に相談すると、とりあえず紙にメモして「領収書紛失」と書いて出しておいてくださいとの事でした。
次に「公租・公課」と呼ばれるもので、没後に請求される公共料金の支払いです。健康保険料の請求や、都民税・住民税の未納分の請求書が「相続人様=私」宛てに送られてきます。こちらも資産から控除されますので、家族が代わりに支払うことはありません。
「その他」は?おじいちゃんは入院先で亡くなったので、病院からの請求や先ほど触れたカード払いの請求になりますが、こちらももちろん控除されます。
最期に最もインパクトがあるのが「葬式代」です。
葬儀費、戒名代、お布施、葬式に必要な交通費(菩提寺や火葬場までのタクシーや電車代)が控除の対象なのです!
注意が必要なのは、葬儀費は「純粋に葬儀にかかった費用」であり、香典返しの品々や食事代(通夜振舞い、精進落とし)、お祭壇を彩るお花や供物代、死亡通知ハガキなどの費用は控除されません(これらは、無くてもなんとか葬式はできるので)。
「葬式代」については、税務署から領収書明細を出すよう言われるので、支払金額の内、「純粋に葬儀に掛かった費用」のみを申告しましょう。ちなみに、タクシー代や電車代の領収書はありませんでしたが、こちらもとりあえず「領収書紛失」で提出しました。
もう一点、戒名代とお布施ですが、葬式編で活躍した生臭坊主、ここでも領収書を出し渋っていました。。。(笑)。寺を経由したお布施や戒名代の行先はいろいろとあると思いますが、やはり領収書に残ると後々税務調査などで不都合になるのでしょうか。。。?
「相続税の申告に必要なのでどうしても作成して下さい!」と押し切って、領収書を作成して頂きました。もしかしたら、ちょっと面倒くさい感じのご住職は出してくれないかもしれませんねぇ。。。
これらの控除関係の領収書はきちんとリスト化した明細を表紙にし、全領収書を紙に貼って提出します。きれいに書類が揃うと気持ちが良いものですね。達成感!
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相続税9 非課税財産をチェック!
<2021年9月4日 私から次男へのレター>
さて、土地対応が一通り終了しましたので、残りの課税対象の資産、非課税(控除)対象の資産の仕分けが始まります。ここからは比較的理解しやすいのでご安心を。
1つ目、「基礎控除」は優れものです! これだけで相続税を支払わなくてよい方が何割かいらっしゃるかと思います。
まず資産の内、3000万円はだれでも基礎控除として除外されます。さらに法定相続人1人あたり600万円の控除があります。我が家の場合は私と姉と妻(おじいちゃん(父)の養子になっていた)の3人で1800万円の控除です!土地建物と現金の合計が4800万円以下であれば相続税の支払いはなくなるのです。
すばらしい!庶民の生活をよく考えて頂いた制度ですね。
2つ目、若くして亡くなってしまった場合など、生命保険の死亡保険金も相続税の対象となります。
無慈悲な感じですが、法外な保険金に対する一定の抑制なのかと。。。
ただ、こちらも法定相続人1人あたり500万円が控除されます。我が家の場合は3人で1500万円の控除です。
そう考えると、生命保険に5000万円など高額を設定した場合は一部相続税の対象になりますので注意ですね。
3つ目、ここに記載すべきものではないかもしれませんが、断捨離編でご紹介した「教育資金贈与信託」ですね。生前、孫に対して教育目的に財産の一部を贈与するものです。これは銀行に運用を信託しますので、実子達の使い込みが防止できますね。
領収書を信託した銀行に提出し、教育費であるか否かが審査されることで無課税で贈与出来る制度で、学費、塾代、参考書、制服代、文房具などが該当します。
上限は1500万円まで非課税。ですので、もしご両親が現金を多くお持ちの場合は、現金として残したばっかりに相続税で目減りさせるのであれば、孫の将来を期待してこの制度を大いに利用することをお薦めします!息子、娘に預けるより、銀行に預けた方が確実に運用してくれます。
運用中におじいちゃんは亡くなってしまいましたが、この制度は生き続け相続税の対象にはなりません。受け取る孫達が30歳まで有効で、もし30歳時点で残金があった場合は、孫たちが残金に対し贈与税を支払えばよいことになります(110万円までは非課税)。
いかがでしょうか?
この3つの控除は、できれば生前から準備すると良いと思います。
妻をおじいちゃんの養子に入れたのは、断捨離編でも紹介しましたが、私がおじいちゃんより先に亡くなってしまった場合、子供達3人と姉に遺産が相続されるので、1人っ子で身寄りのない妻の生活基盤を確実にするためでした。そしてこの基礎控除600万円、生命保険の控除500万円に結び付くのでした。
おじいちゃんも姉もこの案には賛同。関係者への説明が難しいかもしれませんが、控除された金額は法定相続人に遺産として戻るので(遺産分割協議書により均等とはいきませんが。。)ご一考です。
生命保険の控除の上限が低いのにはびっくりでした。資産が高額であればある程、相続税率が高くなるので、生命保険の保険金によって資産が底上げされ、多額の相続税を支払うことになったら本末転倒だなぁ~っと思いました。
若くて実子の教育費、生活費がかかる場合は資産の確保が必要ですが、高齢者の生命保険についてはある程度、節度があった方がよさそうですね。
ちなみに、おじいちゃんは自分のお葬式代程度の生命保険のみを遺したので、全額控除となりました(笑)。ちゃんと考えてたのかなぁ~?
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