おじいちゃん介護のお手紙メモリー

おじいちゃん介護のお手紙メモリー

数年間に渡る父の介護が、父の死去とともに終わり早1年、いろいろあった出来事をイラスト・レターにしたため、介護に協力してくれた3人の子供たちにちょっとずつ送ることにしました。ただ送ってももったいないので、ブログに記録し、同じような介護生活を過ごしている方々に紹介しようと思いました。いつまで続くか、どこまで書けるかわかりませんが、笑いあり、苦労あり、涙ありの介護生活をどうぞご覧ください。

介護生活39 先生からのアドバイス

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No. 93

<2019年7月23日 私から娘へのレター>

さて、おじいちゃん(父)の病室へお見舞いに顔を出しに行くと、時々、廊下で歩行能力の測定(ある一定の距離を何秒で歩けるかの測定)をしているおじいちゃんに出くわします。

 

先生の言うこと素直に聞き、看護婦さんの応援の中、嬉しそうに往復しています。

 

私:「おっ、すっかり調子がよくなってるやん! もうすぐ退院かなぁ。。。?」

先生:「今、歩行能力の測定をしましたが、投与した薬の効果が出てないんですよ。」

私:「えっーーーーーー!」

先生:パーキンソン病であれば効果がある薬を、種類や量を変えて試すのですが、どれも効果が認められません。。。やはりパーキンソン病ではなさそうです。」

私:「そうですか。。。」

 

っとちょっとがっかり。

 

実は今回の検査入院、「家で家族水入らずで遊べるーーっ!」と喜んでる場合ではなく、「認知症ではなく、何か新たな病名が分かって、治療できる薬さえあれば今の介護生活も少しは楽に。。。いや、介護生活から脱却できるかもーーーっ」と、密かに期待してたのです。。。

 

何とも残念な答え。。。

 

先生、さらに続けます。

 

先生:「折り入って話があります」

私:「何でしょう?」

先生:「高齢の伯母さんも同時期に入院されてるんですよね?」

私:「はい。おじちゃんの介護が恐らく原因で、身体を起こした時に力んで恥骨骨折を起こしたらしいのです。。。憶測なので直接の原因は定かではありませんが。。。」

先生:「そうですか。。。ご家族も5人。育ち盛りの子供が3人がいるのですよね?」

私:「はい。おじいちゃんや伯母の介護を一生懸命手伝ってくれてます。」

先生:「言いにくいのですが、あなたのこの介護生活はかなり破綻寸前ですよ。」

私:「えっ!」

 

<私の心の声>:「うーーーーん、何だか嫌な事を言う人だなぁ。。。」

 

先生:「入院中のお父さまの行動を見させてもらいましたが、長期間安静が必要な伯母さんにはもう頼れない状態です。」

私:「はい。私達もそうだろうなと考えていました。おじいちゃんをデイサービスに毎日送り込んで、伯母の負担を無くすのが一番良い方法かもしれないと、ケアマネさんとも話し始めているところです。」

先生:「子育てとの両立はどう考えてますか? あなたも働きざかりですよね?」

私:「休暇を取ったり、かみさんとも介護を分担して、お互い健康を害さないように工夫して、うまく回せると思っていますが。。。子供達も手伝ってくれてますし。。。」

先生:「これは私の経験の範囲ですが、もうこれ以上頑張らずに、公的あるいは業者さんの老人ホームへの入所も選択肢としてしっかり考えておいた方が良いです。」

私:「えっ?」

先生:「私も今まで似たような家族の介護生活を見てきましたが、ほぼみなさん持ち応えられずに、結局、老人ホームの道を選択してますよ。」

 

<私の心の声>:「まじかーーーっ、初めて老人ホームって言葉が僕の家族の前に出てきたーーー! うわーーーっ、まじかーーーーっ、唐突すぎるーーーーっ」

 

私:「老人ホームは頭に無かったので。。。」

先生:「このままだと、あなた離職に追い込まれますよ。有料老人ホームならまだしも、安価な特養などに入らざるを得ないなら、順番待ちが必要になります。追い詰められた時にすぐには老人ホームには入れないんですよ。」

私:「そうなんですか。。。」

先生:「入る入らないはまだ決断しなくていいですが、突然そういう日が来ることを考えて人生設計をすべきですね。」

 

<私の心の中>:「これは納得。先生、とっても良い人だ。。。確かに、崩壊寸前の家族はたくさん見てきたのだろうなぁ。。。」

 

先生:「あっ、そうそう。。。」

私:「何でしょう? まだ不都合が??」

先生:「うちの看護婦さん達が根を上げちゃってね。。。ほら、お父さま、いろいろと彼女たちを呼びつけるでしょう。。。」

私:「はぁ。。。」

先生:「もう病気じゃないんだから早く退院させてくださいってみんな言うんだよ。。。他の患者さんの世話ができないって。。。」

 

<私の心の声>:「あーーーっ、やっちまったかぁ。。。そりゃそうだ。」

 

私:「はい。いつでも。」

先生:「退院して老人ホームにそのままという方法もあるのですよ?」

私:「いや、まだそこまで決断できません。入院中の伯母にも相談しなくてはなりませんし。。。」

 

そうです、老人ホームのことなんて考えてもないので、とても短期間に決断できない。親戚がどう思うかという古典的な心配も。。。慎重に進めなくちゃっと。。。そんな、なんとも小さい料簡が頭の中をグルグル巡るのでした。。。。

 

今、振り返るとこの神経内科の先生のアドバイスが無かったら、やはり途中タイムアップで何もかもが間に合わず、生活が崩壊してたかもと思ってます。

 

その後、先生の言葉を胸に、いろいろと調査したり、家族の未来予測を作ったり、老人ホームの入所ってどのタイミングなんだろうと、おじいちゃんや伯母の状態を毎日見ながら考えるようになりました。

 

また、かみさんともその「タイミング」について一緒に考え、どうやって協力して「その日」を迎えるのかを、徐々に覚悟を決めるのでした。。。。

 

おじいちゃん、7週間、48日間の入院でした。