おじいちゃん介護のお手紙メモリー

おじいちゃん介護のお手紙メモリー

数年間に渡る父の介護が、父の死去とともに終わり早1年、いろいろあった出来事をイラスト・レターにしたため、介護に協力してくれた3人の子供たちにちょっとずつ送ることにしました。ただ送ってももったいないので、ブログに記録し、同じような介護生活を過ごしている方々に紹介しようと思いました。いつまで続くか、どこまで書けるかわかりませんが、笑いあり、苦労あり、涙ありの介護生活をどうぞご覧ください。

相続税14 銀行預金の相続手続き

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No. 208

<2021年9月22日 私から長男のレター>

ここまで相続税の申告の話をつらつらとしてまいりましたが、実際の相続の手続き、つまり現金や登記簿上の名義変更は相続税の申告が終るまで出来ないのでしょうか?

 

答えは「No」です。できます!

相続税の申告前でも遺産分割は先行して可能です。

故人の借金返済や、その他の諸手続きの支払いに、親族(相続人)に大金が必要になる時もあるかもしれませんよね。

 

ただ、「遺産分割協議書」の作成・合意は必須です。

法定相続人全員の相続割合の合意が無ければ、銀行や郵便局(預金の分配)、法務局(土地建物の登記簿名義の変更)は何も対応してくれません。

 

ということで、まずは銀行や郵便局での相続手続きについて説明したいと思います。

 

実はこれが結構、大変でした。。。

銀行や郵便局での相続手続きですが、なぜかそれぞれ異なった書式と方法で行うので面倒だったのです。なぜ書式を統一しないのか理解に苦しむのですが、それぞれの経験、歴史に裏付けられた緻密な(?)確認方法が確立されていて、それを簡単には変更したくないかもしれませんね。。。

 

必要な書類は次の通りです。

 

  • 死亡診断書:命日の記載が重要です。以前、銀行も郵便局も本人が亡くなった事を認知するまでは取引を停止できないという事をお話ししましたが、家族が必要に応じて預金を切り崩しても、遺産分割はこの「命日」の金額で実施されるの心配ありません。
  • 戸籍謄本全部事項証明書:故人が生まれてから亡くなるまでの間の親兄弟子供の全ての戸籍の流れが記載されています。法定相続人を特定するために、家族が知り得ていない法定相続人がいないかをがっちり確認します。例えば、認知した子や生き別れの兄弟・子供などです。
  • 遺産分割協議書:先に述べた通りです。戸籍謄本で特定された法定相続人の合意事項が記された重要な書類です。
  • 相続手続き依頼書:合意した遺産分割方法が記載されます。法定相続人との関係を示す一覧もあり、相続する遺産が誰のどの口座にいくら振り込むのかが記載されます。
  • 印鑑証明書:「遺産分割協議書」や「相続手続き依頼書」に捺印の印鑑が法定相続院本人のものか確認します。

 

「相続手続き依頼書」は銀行毎、郵便局とも全て異なっていたため、記載が本当に面倒でした。印象では郵便局が一番面倒くさかったです。預けている物として、預金、債券、投資信託、金、貸金庫などが網羅され、それぞれ円貨、外貨、名義変更の方法で相続します。

 

ある銀行の書式には「外為法に基づく確認」として、「相続人関係者の中に北朝鮮に在住されている方はいらっしゃいますか?」という設問があり、「います」にチェックすると追加の確認が必要との事でした!国家的な陰謀防止でしょうか?

 

郵便局の書式には、「故人との関係」に死亡等の他、行方不明、相続放棄、養子、そしてきちんと「認知」というものもありました。非摘出子(夫婦関係外の子)にも認知があれば法定相続人になれるので非常に重要な権利となります。

 

振込手数料は振り込み時に「承継者宛振込金より差し引く」ことになります。ですので、可能ならば郵便局は郵便局へ、銀行は同じ銀行系列であれば振込料の節約は可能です。

 

さて、「戸籍謄本全部事項証明書」という書類はとても興味深く、手にするとドキドキします。身内に秘密があった場合、こちらでばっちり明らかになります。おじいちゃん(父)には認知した子や生き別れの兄弟などはいませんでしたが、小さい頃に何人かの親戚の養子になっていたことが分かりました。次男だったので、なんらかの理由で長男のいない親戚を継ぐ予定だったのかもしれません。。。あるいは遺産分割など何らかの理由があったのかもしれません。生前に聞いてみたかったですね。

 

小学校時代の一部の戸籍情報も抜けていました。理由は「東京大空襲のため消失」。初めて見る「おじいちゃんと第二次世界大戦との接点」でした。大半を消失してしまった方もいらっしゃるんでしょうね。。。。

 

ちなみに母方の戸籍謄本もみつかったのですが、ここにはたくさんのドラマがありました。

母や祖父母から聞いていた通り、母が満州生まれたこと、終戦後の満州からの引き揚げ時に三女が亡くなった事(享年2歳)、母がおんぶして満州から引き揚げたと言っていた四女は終戦直後の満州国ではなく中華民国蒋介石が台湾に逃れる前の中国)の時に生まれたこと、誕生日が10月なので終戦の8月15日はまさに祖母は四女の妊娠真っただ中であったことなど。。。赤裸々に読み取れます。。。四女が残留孤児にならなかったのは奇跡ですね。

 

ちなみに戸籍謄本は1部7000円もします!審査はコピーあるいは返却してくれるので一部あれば大丈夫です。銀行では、これらの資料をその場で数人の銀行マンが手際よく点検し、法定相続人に問題ないかを判断します。旧字の筆記体で書かれた戸籍謄本を良く短時間に解読するものです。感心感心。一方、郵便局の場合はいったん書類を預けて数日後に結果が知らされました。のんびりしてますね。

 

以上、相続には贈与税所得税も掛からないので、仮に相続税が掛からなかった場合は、現金等の相続手続きはこれで終了です!

 

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