介護生活53 おじいちゃんにも説明。。。
<2019年9月14日 私から長男へのレター>
肝心のご本人であるおじいちゃん(父)にも説明です。
先にも述べましたが、おじいちゃんは認知症。特に直近の記憶を留めることができないのが主な症状なので、説明することにどれだけの意味があるのかと。。。
実際には送り出す家族の「誠意」にしかよりどころが無い話なのですが。。。
それでも、話を聞いている間はきちんと判断できるおじいちゃんのはずだったので説明します。
私:「この間、転倒してしまった時に近くにいれなかった事、長い間、おじいちゃんの転倒に気が付けなかった事について、本当に申し訳なく思っているよ。。。」
おじいちゃん:「そんなことがあったのか? 俺は部屋で転倒したのか? おぼえてないなぁ。。。」
私:「そう。おばさんが再度の転倒による骨折で入院中の出来事だよ。おばさんが近くにいたら直ぐに気付いてあげられたのにね。。。」
おじいちゃん:「お姉さんは骨折したのか。。。入院か? それはいつからだ?」
ちゃんと説明しろと、なかなか本題に入れません。。。(笑)
私:「ほら、リビングでおじちゃんの前で派手にコケたじゃん。テレビも壊しちゃったし。。。忘れちゃった?」
おじいちゃん:「なにか電気工事の人がいた時か?」
私:「いやいや、あれはおじいちゃんのヘルパーさんのおにいさんだよ(笑)」
おじいちゃん:「覚えてないなぁ。。。」
私:「救急車も来たし、大騒ぎだったじゃん! 覚えてない?」
おじいちゃん:「姉さん可哀そうだなぁ。。。お世話を頼んだぞ。。。」
こういうなかなかかみ合わない会話は大好きです。
それは身内だから許せるのかなぁ。。。(笑)
私:「おばさんがおじいちゃんのお世話の手伝いが出来なくなって、ぼくらも子供たちのお世話や会社が忙しくて、だんだん目が届かなくなっちゃってるんだよね。。。」
おじいちゃん:「それはそうだ。働き盛りだな。今何やってるんだ?」
またまた話がそれる。。。
でも、なかなか言いにくい相談なので、話がそれるとちょっとホッとしたりして。。。
私:「また一人で転倒するのが心配なんだよね。。。」
おじいちゃん:「そうだな。。。誰か一人はいつも近くにいて欲しいな。。。」
私:「日中は僕たち夫婦は仕事もあるし、夜に1階で一緒に寝るわけにもいかないし。。。」
「1階に住んでおじいちゃんを夜通し見守る」は今回の転倒事件でもちょっと考えたのですが、やはりこの大きな一歩は踏み出せませんでした。。。。
おじいちゃんもお世話の後(就寝後)の家族だんらんが唯一のリラックスタイムでもあり、家族のとの会話、コミュニケーションの場でもあったので、それが無くなったら。。。
世間から見たら「短い期間なんだから我慢しなさい」とお叱りを受けそうですが、正直、「いつまで続くかわからない」というのが、当時の実感。そういう意味でも「全力」とうカードは最初からは出したくない、最後まで取っておこうと思っていました。
私:「もう一つ懸念が。。。今、そういうわけで日中一人にできないので、毎日デイサービスに行ってもらってるんだけど、朝の用意とか急かされて大変だよね?」
おじいちゃん:「俺はデイサービスを毎日行っているのか?」
そうです。伯母の入院、そしておじいちゃんの転倒で、我が家は「おじいちゃんを毎日デイサービスへ作戦」を取っていたのです。
こんな毎日。。。
・朝、ヘルパーさんが来て身支度。
・私がおじいちゃんの朝食の用意、かみさんは子供たちのお弁当。
・私、出社。
・子供達、学校。
・デイサービスお迎えをかみさん担当。
・かみさん、出社(パート)。
・かみさん、帰宅。
・デイサービス帰宅をかみさん担当。
・子供達、帰宅。
・夕食はおじいちゃんとみんなで一緒に。
・私、帰宅。
・私がおじいちゃんの就寝前の身支度。
・就寝。
この繰り返しです。
伯母が元気な時は、朝食、日中の見守り(肩たたき、立っち、便所の頻回行動3点セット付)がお願いできていました。
この頃、既に朝の身支度はヘルパーさん任せ。デイサービスは週3回程度。もちろんデイサービスの送り迎えの対応も伯母。週末、伯母の休憩のために時々ショートステイを利用です。
伯母がいたこの生活パターンが私達夫婦の仕事の継続や、子供たちのサポートが両立できるぎりぎりのラインだったのだと。。。
私:「おばさんの入院で、日中おじいちゃんの見守りができないから、今、毎日デイサービスに行ってるんだよ。」
おじいちゃん:「そうか。。。お金は大丈夫なのか。。。」
以前に触れましたが、世の中の高齢者と同様、認知症のおじいちゃんもなぜかお金のことについては常に心配。。。
この頃も時々、「おれは生活してけるだけのお金はあるのか?」と聞くので、銀行の通帳を見せてあげたり、何度も気になって聞いてくる場合はコピーを取ってあげたり。
私:「大丈夫。おじいちゃんが若い時に働いた時の年金がちゃんと入って来てるから全く問題ないよ。」
おじいちゃん:「そうか。。。」
私:「でも、毎日デイサービスを利用となるとかなりの出費で、ほぼ年金と同額ほど使っていると思う。」
おじいちゃん:「そうか。。。」
私:「なので、この出費を抑えるためにも、おばさんの骨折の養生が済むまで、外部の施設に入所してはどうかと思ってる。」
おじいちゃん:「病院か?」
私:「病院ではないけど、リハビリ施設みたいなところ。ショートステイの長期版みたいな感じ。」
おじいちゃん:「お前がいろいろと考えてくれたことなら従うよ。。。」
最近のおじいちゃんの決め言葉はいつもこれ。
認知症の症状なのか、深く考えるとしんどくなるようで、あるいは余計混乱する? いつも最後は私に対して性善説かつ他力本願な意思決定がされていきます。
私:「ほんとにいいの?」
おじいちゃん:「ああ。。。」
こんな感じですんなり話は通りました。
もちろん、直ぐに忘れるので何度も同じ説明を繰り返しましたし、時には「一人離れるのはちょっと寂しいな。。。」なんて言うし。。。
このような段取りを得て、着々と老人ホームの入所の準備を進めるのでした。。。
そうそう、最後にこれは触れておかなくては。。。
私、勇気が無くて最後まで「老人ホームに入所する」とはっきり言えなかった。。。
「ショートステイやデイサービスのような施設」というあやふやな表現。。。
これ、決しておじいちゃんを騙すつもりはなかったのだけど、自分自身、最後まで「老人ホーム」に入れるという表現がなぜか言えなかった。。。やっぱり罪悪感?