おじいちゃん介護のお手紙メモリー

おじいちゃん介護のお手紙メモリー

数年間に渡る父の介護が、父の死去とともに終わり早1年、いろいろあった出来事をイラスト・レターにしたため、介護に協力してくれた3人の子供たちにちょっとずつ送ることにしました。ただ送ってももったいないので、ブログに記録し、同じような介護生活を過ごしている方々に紹介しようと思いました。いつまで続くか、どこまで書けるかわかりませんが、笑いあり、苦労あり、涙ありの介護生活をどうぞご覧ください。

介護生活42 リハビリに行ってくれない。。。

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No. 96

<2019年7月27日 私から娘へのレター>

伯母のリハビリ嫌いは前にもご紹介した通り。

 

前回の腰の痛みの原因が「おじいちゃん(父)の介護サポート」であることはたぶん間違いないのですが、もう一つの原因に、やはり「リハビリのサボり癖」なのではないかと、私達夫婦は確信していました。

 

したがって、リハビリのためのデイサービスに行かない伯母に対して、今回の退院後は少しきつめにお願いするのです。

 

私:「おばさん、リハビリサボるとまた前みたいに骨折するよ!体を鍛えておかないと、よろけた時に身体が支えられなくなるよっ! 転ぶよ!」

伯母さん:「嫌だわ。行っても、どうせろくなことしてくれないのよ。。。」

私:「いやいや、無駄だと思っても、腕をグルグル回したり、足を屈伸しただけでもだいぶ違うと思うよ。とにかくお願いだからちょっとは行ってくださいよ。。。」

伯母さん:「。。。。」←ちょっと怒った顔で

 

デイサービスのスタッフからも、「今日は気分が悪いなどと言って、リハビリに参加してくれません」など報告が。

 

さぼっても予約した以上、介護保険は適用されるので、まさに税金の無駄使い!

 

足の状態から一人での入浴はできませんし、ちゃんとした介護方法を知らない私達も伯母の入浴はさすがにお手伝いはできません。。。

 

計画では「デイサービスでリハビリ→入浴を週2回」という感じでしたので。。。

 

したがって、このままサボると、おばさんほぼ1週間以上の間隔でしかお風呂に入れない。。。これはさすがに公衆衛生上もまずい!

 

そんな伯母との押し問答を繰り返してたある日、伯母と仲の良い親戚Nさんから1本の電話が掛かってきたのです。

 

Nさん:「おばさんの介護、本当にお疲れ様。あなた偉いわよ。」

私:「はい、なんとかやってます。」

Nさん:「ところで、最近、おばさんから電話がよく掛かって来て、ちょっと苦言を聞いたの。。。」

 

<私の心の声>:「えっ、もしかして僕らの介護の愚痴?」

 

私:「えっ、私たちの事?」

Nさん:「デイサービスに無理やり行かせようとしてない?」

私:「はい。大腿骨置換術後のリハビリが不十分で、先生にもしっかり通ってくださいと言われるので。。」

Nさん:「嫌がってるのに無理やり行かせなくてもいいんじゃないの?」

 

<私の心の声>:「おいおい、僕らの介護の日々をどれだけ知ってるんや?おばさんがまた骨折しないように努力してるのに。。。かちんっと来るなぁ。。。」

 

私:「無理やりも何も、このままリハビリに行かないならまた転倒で骨折するかもしれないんです。リハビリ入院はしたくないって言うし。。。私たちにどうしろと?」

Nさん:「あっ、私も父を介護したので苦労は分かるわよ。ただ、おばさんがなぜデイサービスに行きたくないかちゃんと聞いたことある?」

私:「ちゃんとしたリハビリやってくれないって言ってました。興味がないだけだと思うんですけど。。。」

Nさん:「そう、おばさんちゃんと言ってないのね。おばさんが電話で言ってたわ。お風呂に付き添うスタッフが男性だからすっごく嫌なんだって。歳をとっても女性なのよ。裸を見られたくないじゃない。それがたぶん原因の一つよ。」

私:「そうですか。。。。それは聞いてなかった。それはいけませんね。早速、デイサービスに聞いてみます。」

 

なんともびっくりな展開。
伯母さん、そんな話、僕らには全然してくれず。。。
こんなにお世話してるのに他人行儀でちょっとムッとも来ましたが、言いにくかったのかなぁ。。。

 

ともあれ、早速、デイサービスに電話してみる。

私:「もしもし、おばから聞いたのですが、お風呂の付き添いスタッフに男性がいるとのこと。女性の介護に男性なんて、ちょっとデリカシー無くないですか?」

デイサービス:「はい、申し訳ございません。男性スタッフが付く場合も確かにあります。」

 

<私の心の声>:「おいおい、聴いてないぞーーーっ、ちょっと受け売りで。。。」

私:「これってやっぱりおかしくないですか? 歳をとっても女性なんだし。。。」

デイサービス:「はい。おっしゃるとおりです。ただ、これも安全確保のためなのです。お年寄りには体の大きい方もいらっしゃいますし、お風呂場で突然、不測の動きをされる方もいらっしゃいます。そんな時、女性スタッフですと支えきれずに二人とも転倒するという事故もあるのです。床も濡れてますし、とても危険です。そのため、男性スタッフが必要と判断した場合は、そういった配慮もありますので、どうかご理解を頂けないでしょうか。。。?」

私:「そうでしたか。。。」

 

そう、伯母の羞恥心を守ってあげたいですが、ヘルパーさんの安全も同時に守ってあげないといけないということになります。

 

ですよね。。。お風呂スタッフだけ、女子プロレス出身の方にやってもらうわけにも行きません。ヨロっとよろけて全体重を急にかけられたら僕だって転倒の巻き添えになるでしょう。。。。

 

預ける側と預かる側、それぞれの想いや事情、限界、理想。。。何もしてない家族の罪悪感、でもなんとかしようと考える使命感。。。

 

この日の僕の感情は下記のように激しく揺さぶられたのでした。。。

 

1.朝から伯母さんがリハビリに行ってくれないので、容赦なく正論で説教。。。

2.でもやっぱり伯母さん拒否で、投げやりな「もう知らんわっ」という気持ち。。。

3.親戚から電話で介護方針を批判され、なんとも言えないムッとした気分。。。

4.理由が分かり、ムッと来た自分の小ささに呆れる情けない思い。。。

5.今度はデイサービスに怒りの正論で攻撃。。。

6.デイサービスの丁寧な説明で自分の知識のなさに呆れる情けない思い。。。

 

 

介護は奥深いなぁ。。。

 

日本国内のあっちこっちでいろんな気持ちで介護に取り組む人、介護を受ける人、介護を見守る人がわんさかひしめいていて、それぞれ泣き笑いしているんでしょうね。。。

 

そんなことを考えさせられた、今思い出しても背中がブルッとくる情けないエピソードでした。