おじいちゃん介護のお手紙メモリー

おじいちゃん介護のお手紙メモリー

数年間に渡る父の介護が、父の死去とともに終わり早1年、いろいろあった出来事をイラスト・レターにしたため、介護に協力してくれた3人の子供たちにちょっとずつ送ることにしました。ただ送ってももったいないので、ブログに記録し、同じような介護生活を過ごしている方々に紹介しようと思いました。いつまで続くか、どこまで書けるかわかりませんが、笑いあり、苦労あり、涙ありの介護生活をどうぞご覧ください。

介護生活111 その日は突然に。。。

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No. 179

<2020年1月10日 私から次男へのレター>

そう。。。

 

タイトル通り、その日は突然やってきたのでした。。。

 

 

 

2018年の仕事始めから数日経った1月10日の朝。

その年の初の国内出張の朝です。

 

飛行機で福岡へ行くために、浜松町でモノレールに乗り換える直前。。。

 

ブーン、ブーン、ブーン、ブーン。。。。

 

アイフォンのバイブが唸るのでした。。。

 

 

アイフォンの画面を見ると「KS病院」と。。。。

 

 

「これはきっと良い知らせじゃないな。。。」とドキッとし。。。

 

「ついに誤嚥性肺炎が再発したかなぁ?」とか、

「中心静脈栄養に何かトラブルがあったのかなぁ?」とか、

「12月分の入院費の支払いの話かなぁ?」とか、

後期高齢者健康保険証の提出? 介護保険証? 後期高齢者負担区分証明書?」とか、

 

このような思い当たる事が、アイフォンを耳まで持っていくまでの僅か1~2秒間ぐらいの間に走馬灯にように頭を駆け巡ります。。。

 

仕事中によくあるいつもの癖ですね。。。

リスク(疑)に対する条件反射です。

 

でも、電話を耳に付ける直前にもう一つ疑問符が。。。

 

「こんな朝早くに病院から電話かかってくるかなぁ?」

 

そう、早朝の飛行機での移動でしたので、浜松町に着いたのがちょうど朝7時頃。
かなりの早朝電話だったのです。

 

 

そして電話を取ると。。。

 

看護婦さん:「お父様が、今朝、息を引き取りました。直ぐに病院へ来てもらえないでしょうか?」

 

私:「えっ?」

 

看護婦さん:「朝の6時の見回りでは目を開けていたのですが、先ほど心肺停止してしまったようなんです。。。」

 

私:「え~っ?」

 

看護婦さん:「直ぐに来ていただけますか?」

 

私:「はい。今、通勤途中で浜松町なのです。一度家に帰って車でそちらに向かいます!」

 

そして家にすぐ電話。

 

私:「たいへん! おじいちゃんが息を引き取ったって!」

かみさん:「え~~~~っ!」

私:「今から一旦家に帰るから、車で一緒に病院へ行くよ!」

かみさん:「わかった。。。」

私:「伯母さんにも伝えて! 言いずらいけどKS病院へ行く準備をしてもらわないといけないから。。。」

かみさん:「わかった。。。」

私:「長男、次男はもう学校だし。。。Mさん(娘)どうしよう? 学校だよね?」

かみさん:「そうね。。。学校に電話してみる。帰ってこさせられると思う」

私:「じゃあ、お願い。」

 

 

今でも思い出します朝の浜松町駅。。。

 

電車の出入りする大きな音、扉の開閉の騒音、チャイムのメロディ、通勤の雑踏。。。

そんな騒音が一瞬にしてシーンと聞こえなくなり、目の前が真っ白な風景に変化し、一人ぼっちで電話をしていたような感じです。

 

よくある映画のシーンですね。
ほんとにこんな感じになるんだぁ。。。っとちょっと感動。

 

 

さて、朝来た道をそのまま引き返して家に戻ると、かみさんも伯母も娘も既にKS病院に行くべき姿に着替えが終っており、そのまま車に乗り込み出発しました。

 

家から病院まで車で15分。


精神的に大打撃でしたし、亡くなった父とのご対面ですからかなり緊張していたので、事故を起こさないようにいつもよりゆっくり運転したのを覚えています。

そう、危篤で呼び出されたわけではないので急ぐ必要はないのです。。。

 

なんだか結構冷静でした。。。

 

KS病院に着くと病院前の路上駐車場は既に埋まっており。。。仕方なくかみさんと伯母と娘を病院前に下ろし。。。近くの有料駐車場をみつけてそこへ駐車、かみさんらと玄関で合流して病室へ向かいます。

 

病室はおじいちゃんの病室だったか。。。看護婦さんに別の部屋に案内されたのか。。。今となっては覚えていないのですが、とにかく大きなお部屋(4人部屋ぐらい?)におじいちゃんが1人でドンっと横たわってました。

 

確かに胸が上下に動いてないので息はしていなさそう。。。

顔に手を当てるとまだ温かい。。。

 

「6時にはまだ息してたんだよなぁ~」っと、看護婦さんが電話で話していたことを思い出し、「確かにそうらしい」と変に納得感を得ました。。。

 

 

伯母さんもおじいちゃんの顔を覗き込んで、「いいお顔してるわね。。。苦しんだ様子はなさそうだわ」っと、慣れたコメントを。。。

 

伯母さん、考えてみると実父、実母、私の母、そして兄弟たちの全ての死に際を見てきており、もう慣れてしまっているのでしょうかね。。。諦めというか。。。

 

でも、遂に本当に一人ぼっちになってしまいました。。。

 

娘はグスングスン、シクシクとずっと泣いてます。

やっぱり大好きなおじいちゃんがいなくなるのは悲しいですね。。。

 

介護の真っただ中を奔走していたかみさんも、さすがに肩を落としてポロポロと。。。。

 

私なんぞはやっぱり理系男子、この時点では泣かず飛ばずで冷静です。。。

 

「葬式の準備しなくては。。。」

「通夜のために家への移動があるけど、どうやって移動するのだろうか。。。」

「おじちゃんの友人への連絡はどうしょうか?」

「お寺の住職さんと葬儀の日程調整をしなくては。。。」

「戒名はどうしよう? 戒名料はいくらぐらいだろうか?」

「火葬場っていつもとこどこだっけ?」

「お役所にも行かなくては。。。」

「銀行の通帳、引き出せなくなるのかなぁ。。。」

後期高齢者保険料や住民税とか遺族年金とかの手続きはいつまでだろう?」

「そういえば生命保険もあったなぁ。。。どうやって請求するのかなぁ?」

「あ~、いよいよ相続性の申告のための書類も作らなくては。。。大丈夫かな??」

 

いろいろと「この日」が来ることを想定して準備はしていたものの、おじいちゃんの死に顔を見ていたら急に緊張とプレッシャーが襲い、悲しい気持ちも上の空、実務的な事ばかり考えて気を紛らそうとしていたような。。。

 

 

すると、KS病院の主治医がやって来て。。。

当然、話しだします。。。

 

「ご家族のみなさん、死亡確認をしますので、ご一緒に確認ください」と。。。

「心肺は止まってますね? 瞳孔も光に反応しません」と。。。

「ご確認はよろしいですね?」と。。。

「まことに残念ながらお父様はご臨終になりました。死亡時間は8時?分となります。ご愁傷さまです」。。。

 

 

ということで、この公式宣言でほんとうにおじいちゃん、逝ってしまったのでした。。。。

 

おじいちゃん、本当にお疲れ様です。

いろいろと痛いところがあったり、気分の悪い状態が続いたり、記憶が無くなったり、中心静脈栄養が知らぬ間に導入されたり、手にミトンを付けられたりと。。。。

 

ほうんとうに、ほんとうにお疲れさまでした。。。

 

そして、献身的な介護をやり切ったかみさんも。。。本当にお疲れさまでした。。。