おじいちゃん介護のお手紙メモリー

おじいちゃん介護のお手紙メモリー

数年間に渡る父の介護が、父の死去とともに終わり早1年、いろいろあった出来事をイラスト・レターにしたため、介護に協力してくれた3人の子供たちにちょっとずつ送ることにしました。ただ送ってももったいないので、ブログに記録し、同じような介護生活を過ごしている方々に紹介しようと思いました。いつまで続くか、どこまで書けるかわかりませんが、笑いあり、苦労あり、涙ありの介護生活をどうぞご覧ください。

介護生活28 おばさん転院騒動

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No. 82

<2019年7月14日 私から長男へのレター>

伯母さんの大腿骨置換術が終了し、ある程度治療が終了すると、リハビリ病院への転院となります。

 

今、入院中の基幹病院は、治療を主に行うための施設であり、リハビリにより社会復帰を支援する専門施設ではないからです。

 

他にも多くの治療の必要な患者さんがいるわけで、そちらに早期にベッドを譲る必要があります。

 

実に納得できるシステム。

 

最近では専門のソーシャルワーカーさんが病院に常駐し、このような転院のタイミングや適切な転院先の探索を、主治医と患者との間に入って実施してくれます。

 

 

さて、伯母さんも手術後の様々な症状が収まってきて、いよいよリハビリに専念する日が近づいてきたため、ソーシャルワーカーさんとの相談が始まりました。

 

それぞれの言い分。。。

 

私:できるだけ自宅の近くをお願いしたい。家から自転車などで通える範囲であれば今以上にお見舞には行けるし、緊急時の対応もスムーズ。リハビリには専念してほしい。寝たきりになてしまうのが、最も懸念。。。。

 

伯母さん:一刻も早く退院したい。リハビリなんて必要ない。このK病院で全て終了しお家に帰りたい。転院は嫌!

 

ソーシャルワーカー:転院先はできるだけご自宅の近くを探します。伯母さんには申し訳ないが、リハビリはもう少し継続する必要があります。

 

 

そして、ついにある日、ソーシャルワーカーさんから電話。。。

 

ソーシャルワーカー:転院先のリハビリ病院の空きが突然ありました。希望する近所の病院です。今日すぐにでも転院の手続きはできないでしょうか?

私:あーーーすみません。今、福岡に出張中です。妻は家でおじちゃん(父)の面倒をみなければいけないので、明日にしてもらえないでしょうか?

ソーシャルワーカー:いえ、病院側の都合もあり、今日行っていただけないとダメだと、先生がおっしゃっております。

私:いや。。。先ほど申し上げた通り今日は対応できません。申し訳ありません。。。

ソーシャルワーカー:そうですか。。。わかりました先生に報告しておきます。

 

転院のお知らせがあるので、その時によく相談して決めて欲しいという話は事前に聞いていたのですが、突然「今日転院してください」とはあまりにも突然かつ理不尽なので、丁重にお断りしたのです。。。

 

ところが数分後、先生から直接、携帯にお電話が。。。。

先生:もしもし、今日の転院の話を断ったのですか?

私:はい。今日は私も遠方に出張で帰れません。妻も父(おじいちゃん)のお世話で手が離せないのです。申し訳ないですが、明日にしてもらえるよう交渉してもらえないでしょうか?

先生:あなたねー、今日しかないって言ってるんだよ。明日ならもう紹介できないって話になりますよ。いいのですか?

私:あのー、今日は物理的にダメなのですが、こちらの事情はまったく汲んで貰えないのでしょうか?

先生:それじゃ、タクシーを呼びましょう。私が玄関まで必ずお連れしますし、先方の病院でも玄関で迎えが来るように対応を手配します。

私:あのー、病室の身の回りの整理など、私たち無しでなんてちょっと可哀そうです。90歳近い老人を一人ぼっちで転院なんてさせられません。そんな無責任なこと。。。

先生:だから私が責任もって送るって言っているじゃないか。今日がダメならもうそこには行けないよ!次はどこになるか分からないよ。どうします?

私:あのー。もう一度言いますが、私は遠方で今、仕事中です。長電話もこれ以上できません。妻は父のお世話。今日来いと言われても無理です。90歳の老人を一人で転院なんて私達家族は容認できません。

先生:うーーーん。。。。

私:すみませんが、こういう話はソーシャルワーカーを通して貰えないでしょうか?威圧的な事を言われて、正直、患者の家族としては少し戸惑っています。先生にはお世話になってますし、こういう話を断った場合に伯母に何か不利益な事があるのではと心配です。ソーシャルワーカーはそのような両者の仲介にために存在しているはずなので、もう私達との直接の対応を今日のところは止めてもらえないでしょうか?

先生:わかりました。ソーシャルワーカーと相談してください。(がちゃっ)

 

というような。。。何とも後味の悪い結果に。。。

 

先生は、恐らく私達介護者や伯母のためをもって言ってくださったのだと思います。紹介された病院も、近所で私たちの条件に合ってましたし、タクシーなどの手配もしてくださると言ってましたし。。。

 

でも、当時の私は全くそのように受け止められなかったのです。。。
「1日ぐらいどうして伸ばせないんだろう?」
「ここまで家族が今日は無理って言いているのに、なんでこんな強引な言い方なんだろう?」
「脅せば従うとでも思っているような感じ。もう少し患者中心に考えて欲しいな~」

 

今、考えると、私もかなりへそ曲がりですよね。。。。料簡が狭いというか。。。

 

次の手術患者がベッドを待っているかもしれないし、先生もそっちの患者を早く救いたいのかもしれない。。。今頃になって、「あーーっ、大人げないことしてしまった。。。」と後悔。。。

 

ただ、どうしても「渦中の患者と家族の希望がないがしろにされた」、「威圧的な言葉づかいでねじ伏せようとされた」という印象がぬぐえず、当時はどうしても受け入れられなかったのですね。。。(馬鹿な意地っ張りです。。。)

 

もう少しあの時の状況を顧みると、

「仕事で忙しいところに電話が来て、理性的に考えられなかった」

「毎日介護に追われ、精神的に追い込まれ、性悪説的な思考にしかならなかった」

と言ったところでしょうか??

 

 

そういう意味では、やはりソーシャルワーカーの仲介って非常に重要じゃないかなっと感じます。厳密にソーシャルワーカーの存在意義、病院での正式な役割は何か知りませんが、「患者の周りに存在する様々なプレーヤーを仲介する第三者的な役」と、私は勝手に思ってました(違ったのかな~?)。。。

 

「次にこのような話の流れになったら、もっと性善説に考えよ」っと反省しましたが、その後、おじいちゃんを含め、さまざまな転院を経験する中で、まぁ、このような感じの流れは一度も起こりませんでした。。。。