おじいちゃん介護のお手紙メモリー

おじいちゃん介護のお手紙メモリー

数年間に渡る父の介護が、父の死去とともに終わり早1年、いろいろあった出来事をイラスト・レターにしたため、介護に協力してくれた3人の子供たちにちょっとずつ送ることにしました。ただ送ってももったいないので、ブログに記録し、同じような介護生活を過ごしている方々に紹介しようと思いました。いつまで続くか、どこまで書けるかわかりませんが、笑いあり、苦労あり、涙ありの介護生活をどうぞご覧ください。

介護生活71 高カロリーゼリーって何?

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No. 139

<2019年10月19日 私から長男へのレター>

ある日、ケアマネさんから電話があり。。。

 

おじいちゃん(父)の食欲が落ちているので、高カロリーゼリーを買ってきて欲しいとのこと。。。

 

昼食や夕食があまり食べれなくなり、ちょっと元気がなくなってきているようです。

 

「高カロリーゼリー」?

 

そんなものが世の中にあるとは知らず、ネットで調べるとあるはあるは。。。

 

世の中には食事が摂りにくく、高カロリーゼリーで栄養補給をしている方がごまんといるという現実を、この時初めて知ったのでした。。。

 

そういえば、母が胃癌で胃を全摘をした時、十分な食事、栄養の摂取が出来ないので、「できるだけ高カロリー食を取ってください」と言われ、一生懸命バナナやポテトチップを食べていたのを思い出しました。。。あの頃は高カロリーゼリーは無かったのだろうか??

 

おじいちゃんの場合は、喉の通りが悪く、あるいは違和感からか、食欲がなくなっているのか、あるいは面倒になってしまっているのか。。。スタッフの方が心配してくれました。

 

 

栄養が少ないと。。。

そう、だんだん元気がなくなってきます。

身体を動かすエネルギーが不足しているので当たり前です。

 

元気がなくなると。。。

そう、話も少なくなり、益々記憶力も落ち、最終的には寝てばかりの状態に。。。

 

 

このころから、ホームを訪ねてもベッドで寝たきりだったり、車椅子の上でウトウト寝てたりと、老衰というか、生きる輝きというものがだんだんと小さくなっていくように感じました。

 

 

でも、ホームからの電話で、

「今日は高カロリーゼリーを全部食べました!」とか、

「おじいちゃんはヨーグルト味が大好きなんですよ!」とか、

そういう話を聞くと、なんだかホッとするんですよね。。。

たかが高カロリーゼリー、されど高カロリーゼリー。

 

 

それにしても我が家で一番の美食家だったおじいちゃんが。。。。

 

商社の台湾支店で単身赴任の時代があったせいか、特に中華料理には厳しく、東京のちょっとした中華レストランに行って味が気に入ると。。。

コック長をわざわざ呼び出して、時には中国語で「これは本場と同じ味だ」、「ここの味は東京一だ」とか言ってみたり。。。

 

「味が変ったぞ! コック長が代わったのか?」とウエイターさんを困らせたり。。。

 

中華料理だけでなく、ちょっとおしゃれな和風居酒屋に連れて行った時、カツオの刺身で尻尾の部分が混ざって出てくると、即座にウエイターを呼びだして。。。

 

「こんな部分をお客に出すとはどんな料簡だ!」

「せっかくの他の料理が全部いい加減に感じるじゃないか!」

「お金を取って出す料理か?」

と怒鳴っては新しいものに換えてもらったり。。。

今なられっきとしたクレイマー(笑)

 

そう、食に関することに関して決して妥協せず。。。という性分だったのです。

 

 

私が働くようになって、お給料でおじいちゃんをご馳走に連れ出すようになってからも、一緒に食事やお酒を呑むことについては最大限の歓びを伝えてくれるのですが、料理についての感想を聞くと、「まあまあだな」っと、最後まで満足感を示す言葉は掛けてくれたことが無かったほどの徹底ぶりです。。。

 

 

それらを思い出すと、おじいちゃんに高カロリーゼリーなんて。。。

ほんとに悲しすぎます。。。

 

 

おじいちゃん亡き今でも、家族でおいしいレストランで外食すると。。。

「これ、おじいちゃんに食べさせたいね」とか、

「おじいちゃん、こういうの好きだったよね」とか、

「この料理の扱いだったら、おじいちゃんブチ切れてたね」とか。。。笑

 

そんな話で盛り上がるのでした。