おじいちゃん介護のお手紙メモリー

おじいちゃん介護のお手紙メモリー

数年間に渡る父の介護が、父の死去とともに終わり早1年、いろいろあった出来事をイラスト・レターにしたため、介護に協力してくれた3人の子供たちにちょっとずつ送ることにしました。ただ送ってももったいないので、ブログに記録し、同じような介護生活を過ごしている方々に紹介しようと思いました。いつまで続くか、どこまで書けるかわかりませんが、笑いあり、苦労あり、涙ありの介護生活をどうぞご覧ください。

スピンオフ14 義父さんマンショントラブル

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No. 114

<2019年9月2日 私から娘へのレター>

さて話は大きく変わります。

 

義父さんの老人ホームへの入所が確実になったため、マンション退去の実施です。

 

もちろん入院中の義父さんは何もできませんので、荷物のパッキングや断捨離は娘であるかみさんと子供たちが担当。


私が退去の手続きを取ることに。。。

 

ここで何度か引っ越し経験のある私にも覚えのある敷金返金問題が。。。

 

よく聞く「原状回復の為に〇〇万円請求します。敷金を差し引いて〇〇万円の差額を払ってください」というやつです。。。

 

退去の手続きを取ると、まず不動産屋に雇われた原状回復にかかる費用の査定業者が来ます。

 

メジャーであちこち寸法を測っては紙にメモして、20~30分ほどで査定を終えます。
メジャーの使い方がいい加減なので、直ぐに「これは測った振りなのかなぁ~」と思ってしまいます。

 

紙には「壁紙〇〇平方メートル:〇〇万円」とか、「フローリング傷・凹み:〇〇万円」とか、「ドア色あせ:〇〇万円」とか、たくさんのリストがあり、見積もり金額は敷金(家賃の3倍)の倍ぐらいになってました。

 

高い!

 

実は、実家のリフォームをしている業者からのアドバイスで、この見積もり書には絶対にその日には署名しないようにと。

 

私:「これ、今日サインしなくてもいいですよね?」

業者:「えっ? わざわざここまで査定しに来たのに認めてくれないのですか?」

私:「見積もり額が適切かどうか、知り合いに不動産屋がいるので相談したいのです」

業者:「えっ? どの業者が見積もっても同じですよ。お客さんは知らないかもしれないけど、業界のルールがあって私もそれに従って査定してるだけなので。」

私:「壁紙は経年劣化ではないですか?」

業者:「何言ってるの。こんなに汚くなっているからどう考えても全とっかえですよ。原状回復の約束は契約書にも書いてありましたよね?」

私:「義父さんはここにもう7年以上住んでいます。確かルールでは6~7年の場合は経年変化とみなされて貸主負担だったような。。。」

業者:「わかりました。私は貸主にこの紙に書かれたルールで見積もれと言われているので、何か疑義があるなら不動産屋に直接交渉してくれませんか?」

 

そう、実はリフォーム屋さんに教えてもらい、事前に業界ルールをネットで打ち出しておいたのでした。私はただそこに書いてあるルールに従っただけ。

 

 

数日後、不動産屋から電話が。

不動産屋:「お客さんね。本当の見積もりよりかなり低く出してるんですよ。長く住んでくれたしトラブルもなかったから敷金ちょうどぐらいでいいですよ?」

私:「それでもまだ高く見積もってませんか? 業界のルールを読むと、例えば壁紙は6~7年で経年劣化とみなされ原状復帰は貸主負担とありますよ。」

不動産屋:「契約書にはそんなことは書いてないですよ。ただ原状復帰して貸主に戻すことだけ書いてあるはずですよ。」

私:「いやいや、業界ルールはわざわざ不十分な内容の契約書によるトラブルを防ぐためと謳っているので、逆に契約書に業界ルールは適用しないと書いてない限り従わないといけないのでは?」

不動産:「。。。わかりました。その旨、貸主に連絡しますので、しばらく待ってもらえますか?」

 

不動産屋は結構危ない方達もいそうなので、ちょっとビビリましたが、ここまでは何とか抵抗成功。。。

 

そして同日の夕方頃に貸主から電話が。

貸主:「原状復帰を拒否って、どういうことなんだ。払わないつもりなのか!」

 

いきなり怒り口調。たぶん、これは貸主ではないなと。。。恐らく。。。

 

私:「今回の見積もりが業界ルールのどの条項に従って、どのような計算で出したか説明して頂ければお支払いします。自分で調べた限りではこのような見積もり額にはどうしてもならないので。。。」

貸主:「計算って、我々も業界ルールに従ってるに決まっているじゃないか。君は何を根拠に言ってるんだ!」

私:「でも計算が合いません」(私は根っからの理系ですので自信満々)

貸主:「例えば何だ!どこだ!言ってみろ!」

私:「壁紙やドアの色あせは7年以上経っているの経年変化で貸主負担のはずです。」

貸主:「そんなことどこに書いてあるんだ。わかって言ってるのか?」

私:「業界ルールの〇〇という規則をお持ちだと思いますが、手元にありますか?」

貸主:「。。。。」

私:「じゃあ、ないなら読み上げますよ。第〇項 経年経過の定義。。。。」

貸主:「もうわかった、わかった。いくらなら払うんだ。」(ここで開き直りです)

私:「ちゃんとルールに従って再計算してくださればお支払いしますよ。」

貸主:「いいから、いくらなら払うんだって言ってるんだ。」

私:「フローリングは経年変化が適用されないので、こちらは原状復帰が妥当と思ってます。あと。。。」

貸主:「だから、いくらなら払うと言ってるんだ!いくらだ!」

私:「。。。あえて言うなら敷金の半額ぐらいでしょうか?」(これテキトーです)

貸主:「わかった。それでいいな。直ぐに請求書出すから家賃の清算と一緒に対処するから」

 

これで交渉終了です。

 

みなさま気を付けましょう。

「本当は〇〇万円だけど敷金でチャラにしてやる」っていうのは、少なくとも7年以上住んでいたらそれははったりです。よっぽど事故や故意で設備を壊さない限り、経年劣化(貸主さんが自分で住んでいたとしても同じように古くなる想定)で貸主責任です。

 

というわけで、介護といっても本人自身のお世話だけが介護ではありません。このように本人の周りの様々な手続きを含めて介護。

 

この、その他の部分はなかなか行政サービスではカバーできないので、やはり家族、親族が頼りです。

 

ほっとくと数十万円の単位のお金が、色々な場面でむしり取られてしまいます。皆さんどうかこの点もお気を付けください。

 

さて、こちらで義父さんのスピンオフも終了です。
なかなか古い話なので記憶がごっちゃになってますが、だいたいこんなだったかと。


次回から「介護生活」編に戻り、いよいよおじいちゃんの介護生活後半戦の始まりです。