介護生活6 おじいちゃんの繰り返し行動2
<2019年6月1日 私から娘へのレター>
前回に引き続きおじいちゃん(父)の認知症症状について紹介します。
<パターン4>
夕飯や週末の食事はおじいちゃんと一緒に過ごすことは前のエピソードで書きましたが、これも一筋縄に行きません。。。
いつも美味しくご飯を食べ、その後、時々繰り返し話をするのも子供達も慣れてきてますので楽しく受け流し、食後はお茶、そしてしばらくテレビをみて。。。
おじいちゃん:「じゃあ、ごちそうさま。そろそろ戻る」
子供たちの誰か一人が必ず階段の上り下りをエスコートしてくれます。
ところが、しばらくすると。。。。
おじいちゃん、階段を上って来て。。。
おじいちゃん:「夕飯はまだかなぁ??」
娘:「おじいちゃん、さっき一緒にごはん食べたよ~!」
おじいちゃん:「そうだったか。。。なんだかすぐ忘れちゃうなぁ~」
娘:「はははっ、さっき食べたのに~」
おじいちゃん:「そうか。。。」
こんな感じです。
さすがに1日に2度繰り返すことはありませんでしたが、数か月に1、2度ぐらいはあったかなぁ。。。
食欲って本能なので認知症とは関係なく、お腹いっぱいならご飯を食べたいという衝動は無いと思っていたのですが、意外な状況。。。。
食べたこと自体を忘れてしまっているのは分かるのですが、原因は?
次の2つかなぁ~
・1日の行動の中の「夕食」をとり忘れてないかを確認しに来た?
・夕飯を食べたことを忘れた状況下、ただ夕飯の時間だから食べに来た?
でも、「かみさんのご飯がそんなに食べたいのか」と、ちょっと嬉しくなるのでした。
<パターン5>
就寝時に、なかなかベッドに向かわないおじいちゃんを説き伏せて、ようやくお布団に入ってもらうのですが、ここから先がまた大変!
おじいちゃん:「枕の位置が悪い。直してくれ~」
私:「こんな感じ?」
おじいちゃん:「あ~、いい感じだ。ありがとう」
私:「じゃあ、2階に上がるね?」
2階に上がると。。。
Kさーん!Kさーん!
Kさーん!Kさーん!
Kさーん!Kさーん!
かみさん:「どうしました?」
おじいちゃん:「枕の位置が悪い。直してくれ~」
かみさん:「こんな感じ?」
おじいちゃん:「あ~、いい感じだ。ありがとう」
かみさん:「じゃあ、2階に上がるね?」
また、しばらくすると。。。
Kさーん!Kさーん!
Kさーん!Kさーん!
Kさーん!Kさーん!
次男坊:「どうしました?」
おじいちゃん:「枕の位置が悪い。直してくれ~」
次男坊:「こんな感じ?」
おじいちゃん:「違う!」
次男坊:「こんな感じ?」
おじいちゃん:「違う!」
次男坊:「こんな感じ?」
おじいちゃん:「違う!」
次男坊:「こんな感じ?」
おじいちゃん:「違う!もういい。ママを呼んでいなさい!」
次男坊:「ママは今いません」
おじいちゃん:「嘘をいうんじゃない! もういい!」
はい、次男坊はかみさんの苦労を知ってか、「自分が対応するからお母さんを休ませたい」というつもりで嘘をついたのでした。。。
自分自身が次男坊だったおじいちゃん、結構、うちの次男坊とも仲が良かったのですが。。。なぜか、おじいちゃんに対する介護時にはよく怒られていました。
我が家でもこの話は有名で、「なんで、次男坊はすぐにおじいちゃんに怒られるんだろう?」と論争になったぐらい。。。
実際には、兄弟の中では、長男は受験、娘は非力なので、身の回りの力仕事の世話は次男坊が一番献身的にやってくれていたのにね。。。
次男坊、ほんとうに可哀そうでした。。。
<パターン6>
おじいちゃんとは何度会っても久しぶりに会ったような会話になります。。
そう、前にも述べましたが、昔の記憶は鮮明にあるのですが、直近の記憶、時としてここ数年間の記憶がところどころ、あるいは全てが脱落してしまっています。
なので、家の中で毎日会ってても。。
おじいちゃん:「お~っ、ちょっと見ない間に大きくなったなぁ~」
娘:「えっ? おじいちゃん、昨日も会いましたよ(笑)」
おじいちゃん:「そうか? 今、何歳になったんだ~?
娘:「10歳です!」
おじいちゃん:「もう10歳かぁ~! 大きくなったなぁ~」
この一見、イラっとする物忘れの会話ですが、私はこれを見るのがとても好きでした。
おじいちゃんの「もう10歳かぁ~! 大きくなったなぁ~」という時の表情。。
顔面をぐちゃぐちゃにして、本当にうれしそうで。。。
純粋に孫の成長を楽しみにしている1老人であり、心の底からその成長を嬉しく、感動して、それを言葉と表情に嘘偽りなく表現していたのです。。。
そう。。。おじいちゃんの息子であり、娘の親である私は、この時ほど誇らしげな瞬間はありません。。。。
そして、このような絶頂の幸福感を何度も味わえるおじいちゃんをとても羨ましく思ってしまうのでした。。