おじいちゃん介護のお手紙メモリー

おじいちゃん介護のお手紙メモリー

数年間に渡る父の介護が、父の死去とともに終わり早1年、いろいろあった出来事をイラスト・レターにしたため、介護に協力してくれた3人の子供たちにちょっとずつ送ることにしました。ただ送ってももったいないので、ブログに記録し、同じような介護生活を過ごしている方々に紹介しようと思いました。いつまで続くか、どこまで書けるかわかりませんが、笑いあり、苦労あり、涙ありの介護生活をどうぞご覧ください。

介護生活4 いつも不安なおじいちゃん

f:id:oohiratt:20190601161436j:plain

No. 58

<2019年6月1日 私から長男へのメール>

さて、同居生活をすることで、おじいちゃん(父)の様々な行動(認知症の症状)が分かってきました。一緒に住んでないと、そんなこと全く気が付きませんでした。。。

 

前にも述べましたが、私たちがおじいちゃんの様子がおかしいと気づいた最初の症状が「同じ話の繰り返し」でした。

 

つまりちょっと昔の記憶が思い出せない。新しい記憶を留めおくことができない。。そんな症状です。

 

こうなってみて振り返ってみてネットを調べると、同じ話の繰り返しは認知症の初期症状の典型例で、家族もそれに対して邪険に扱ってはいけないとの事。

 

家族が怒ったり、しかめっ面をすると、認知症の方は「不快・不安」を感じ、その場から離れたいという衝動が出てくるそうです。それをきっかけに徘徊などが始まる場合もあるとのこと。

 

幸い我が家は笑い上戸の人ばかり。辛抱強く何度も話を聞いては、「面白いけど、さっきも聞いたよ~」という感じで受け流してました。

 

ただし、これはたま~に家に訪れた時の、滞在時間内での受け流し術。

 

同居となると、これが毎日続くことになるのです。。。

 

前のエピソードで触れましたが、夕飯を一緒に食べる以外は、同じ家の中でもきちんと生活を分けていたので、「繰り返し話」はあまり気になりませんでした。

 

ところが、他にもいろいろとパターンがある事が判明。。。

 

まず、不安になると、どうもうちのかみさん(Kさん)を呼びつける。。。。

 

おじいちゃん:「Kさーん、Kさーん」

かみさん:「どうしました?」

おじいちゃん:「みんないるのか?」

かみさん:「今はいますけど、今日は〇〇でみんなで出かけますよ。。。」

おじいちゃん:「そうか。。俺はどうしたらいい?」

かみさん:「ヘルパーさんが来ますから、大丈夫ですよ。」

おじいちゃん:「そうか。。。わかった。ありがとう!」

 

このような感じの普通の会話。あるいはこれに似たような感じの会話を交わし。。。。

 

数十分後に。。。

 

おじいちゃん:「Kさーん、Kさーん」

かみさん:「はい、はーい!」

おじいちゃん:「今日は俺はどうしたらいいんだ。。。」

 

こんな感じ。

 

これを数回繰り返すので、1階のおじいちゃんのところに行って、今日1日のスケジュールを細かく説明、あるいは紙に書いて渡すといった対応もしました。

 

それでも、「Kさーん、Kさーん」が連発する時もしばしば(笑)

 

 

それから、さらにびっくりしたエピソード。。。。

 

この頃、おじいちゃんはしきりに足や腰、首が痛いと言っていたのですが。。

 

夜中の3時頃でしょうか。。。

何かの物音でウトウトと目を覚まし。。。

何だろうと耳を澄ますと。。。

 

「Kさーん、Kさーん」。。。という声?

 

かみさんも気が付き。。。

 

かみさん:「Kさーんって聞こえない?」

私:「最近の癖で、何でもKさーんって聞こえるんじゃないの? 笑」

 

「Kさーん、Kさーん」

 

うんっ?

 

「Kさーん、Kさーん」

 

まじっ?

 

「がちゃっ」という音と共にドアが開き、おじいちゃんが立っているじゃないですか!!!

 

私:「どうしたの? 何かあったの?」

おじいちゃん:「足が痛くて寝れないんだ。歩けないんだよ。。。助けてくれー」

私:「足って、ここ3階だよ。3階まで登ってこれたの??」

おじいちゃん:「足が痛いんだ。。。」

 

ということで、階段も危ないので1階まで付き添って、ベッドに戻し。。。

安心させて寝かせるのでした。。。

 

かみさんは「対応はしんどいけど、私の名前を読んで、私を頼ってくれるのは嬉しいことよね?」と超ポジティブな反応。。。。良い妻です。

 

 

はい。それ以来、ちょっとした小さな物音でも目が覚めるようになったのでした。

そして、どんな物音も「Kさーん」に聞こえるようになってしまったのです。。。

 

 

「かさっ!」

 

かみさん:「今、Kさーんって言ってなかった??」

私:「みっ、見てくるっ!」