おじいちゃん介護のお手紙メモリー

おじいちゃん介護のお手紙メモリー

数年間に渡る父の介護が、父の死去とともに終わり早1年、いろいろあった出来事をイラスト・レターにしたため、介護に協力してくれた3人の子供たちにちょっとずつ送ることにしました。ただ送ってももったいないので、ブログに記録し、同じような介護生活を過ごしている方々に紹介しようと思いました。いつまで続くか、どこまで書けるかわかりませんが、笑いあり、苦労あり、涙ありの介護生活をどうぞご覧ください。

資産の整理8 銀行は冷たいな。。。

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No. 33

<2019年4月14日 私から娘へのレター>

さて、次に着手したのが銀行の管理。。。

 

こちらもおじいちゃん(父)、すっきりとまとめていました。
銀行2つにゆうちょが1つだけ。

 

ところがである。カードの暗証番号をすっかり忘れており、ATMでおろせない!

 

聞くと、おじいちゃん、現金がないので、しばらくずっとおばさん(父の姉)が現金決済を肩代わりしてくれたそうである。。。

 

そういえば、「俺にはちゃんと生活ができるお金はあるのか?」とおじいちゃんから何度も聞かれてたのは、手元に十分な現金がなかったからか。。。

 

つまり電気、ガス、水道、そのたもろもろの支出(例えば外食の決済や新聞とか)は全てカードや銀行引き落としだったので、そこでの支払いには現金は必要なく、お財布の中や箪笥の中の現金がここ数ヵ月、すってんてんだったようです。。。

 

ということで息子の私が現金を引き出すための行動を起こすのですが、これがまた大変だったのです。。

 

まずは電話でアプローチ。

私「PWの再設定をお願いしたいのですが?」

銀行員「本人が自ら手続きして下さい」

私「体調が悪く、連れていけないので、自宅に来てくれないでしょうか?」

銀行員「自宅への訪問はしません。銀行まで来てください。」

私「体調の悪い老人を連れて来いとは慈悲のない。。何とかならないでしょうか?」

銀行員「体調の良い時に来ていただけないでしょうか?」

私「いや、すぐに現金を引き出したいと言っているのです。ダメでしょうか?」

銀行員「あなた、一緒にお住まいなのですか?」

私「長男ですがまだ同居してません。会社があるので平日に父を連れて行けません。」

銀行員「お父様はお金に困っているのですか?」

私「はい。銀行から引き出せずに困っています。」

銀行員「とりあえずあなたが支援することはできないのですか?」

私「えっ、できますけど。。。」

銀行員「では、急ぐ必要はありませんよね。」

 

どうやらおじいちゃんのお金に群がる「悪い家族」あるいは「悪い知り合い」と思われているようです。。。笑  ごもっとも。

 

致し方なく、会社をお休みし父を連れて銀行に。

 

銀行員の質問(名前、生年月日、住所)にはちゃんと答えられるので、なんとか手続きも終了。。。カードで現金を引き出し、おばさんにも借金の返済が完了。

今後、おじいちゃんが直接銀行に行くのは難しいし、銀行での手続きにいちいちおじいちゃんを連れて行くのも面倒なので、自宅でいろいろと対応が可能なネットバンキングの手続きもしておきました。

 

やれやれ。。。

 

ところが、いつまでたってもネットバンキングの完了通知が来ない。そこにはネットバンキング用の暗証番号が記載されているカードが入っているはずなので、それがないと自宅でネットバンキングはできない。

 

毎日、おじいちゃんに電話で「届いた?」と聞いても、「そんなものは届いてないなぁ。。。」と繰り返す。。。

 

ということで、「ちゃんと手続きが完了してるのかなぁ」っと思い、銀行に電話。

 

銀行員「本人でないと答えられません」。。。泣

 

はいはい、わかりました。
しかたなく、会社を半休して実家に寄って銀行に電話すると。。。。

 

銀行員「それなら確実に@月@日に届けました。記録があるので間違いありません。」

私「再発行できますか?」

銀行員「本人が銀行に来てもらえないとできません。」

私「えーーーーっ! 暗証番号カードの再発行ぐらい簡単でしょう?」

銀行員「いえ、先日発行済のカードを一度破棄し、新しい物を再発行します。」

私「また銀行に体調の悪い父を連れて行かなくてはならないのですか?」

銀行員「はい。残念ですがご本人が紛失されてしまったのですから。」

私「。。。」

銀行員「なお、再発行には@@円の手数料がかかりますが、どうされますか?」

私「。。。」

 

ということで、再度、会社をお休みし、銀行におじいちゃんを連れて行き、手数料を払ってネットバンキングのカードを再発行してもらいました。

 

その際に、さらに銀行員と交渉。

 

私「父がまた捨てるかもしれないので、息子の私宛に送ってもらえないでしょうか?」

銀行員「本人宛にしか送付できません。」

私「私の名前を連名にしてもらえないか?それなら父も破棄しないと思うので。」

銀行員「本人宛にしか送付できません。」

 

。。。。。

 

しかたなく、週に2~3度、会社帰りに実家に寄って、カードが届いていないかを確認し、ようやく受領が確認できました。。。

 

ふ~~~っ

 

はい、世の中には悪い人の方がはるかに多く、銀行も詐欺や悪用防止のためにいろいろと尽くしてくれています。私が「息子だ」と主張しても、最後まで証明書類を見せろと言われなかったので、なりすましの手口の一つとしてよくある事のようです。

 

そんな社会問題もあり、善良な市民は非常に手間な手続きが強要される羽目に。。。

 

さらに、そろそろお気づきかと思いますが、銀行員、最後まで「このカード、本人が使うのですよね? お父様ちゃんと使えるのですか?」という質問はしてきませんでした。

 

銀行のPWを忘れ、一人で銀行にもいけない老人が、銀行に来てカードで現金を引き出せるのか? ネットバンキングを使って各種手続きがきるのか?

 

できるわけもありません。

 

1~2年後、おじいちゃんの認知症がかなり進んだ時に、「これはさすがに本人が使えない状況がバレバレだなぁ」と思い、成年後見人制度の利用を考え、役所に相談したことがありあす。

相談員はあっさりと「家族であれば、そのような行動は容認されています」と。同居家族の私的な使い込みで、相続時に問題となる余地はあるものの、ここを厳密に縛ると本人も家族も生活が立ち行かなくなるからとのことです(もちろん犯罪に繋がった場合は、違法性が問われますが、事前の防止措置は厳密ではありません)。

 

このことは税務署でおじいちゃんの相続税の相談に行った時も同じ見解でした。「相続時に争いにならないように、あらかじめ法定相続人に確認をとっておくか、通帳に出し入れの記録をこまめにメモしておいてください」とのことでした。相続対象の資産を選定する場合の参考にするとのことです。

 

なお、銀行員がここのルールに触れなかったのは、カードの発行後は本人(あるいはその家族)の責任であり、「発行までの手続きが銀行の責任」ときちんと線引きしていたのだと思います。

 

クレジットカードの解約時と同じく、「企業はちゃんとルールに従い手続きすることが大事」であり、本質は「銀行だって世の中がうまく回るように配慮をしている」という勝手な解釈(たぶん違うと思うけど。。。)で、なんとなく腹落ちしました。

 

あ~~、高齢化社会。複雑になってきたなぁ~。。。

 

ここまで来て、私もやっと「社会の見えないお作法」というものがわかってきましたが、銀行員の対応へのイライラに堪えかねて「ふざけるなっ」と喧嘩してしまう人もいっぱいいるだろうな。。。銀行員もたいへん。。。

 

これって核家族化もひとつの大きな問題ですね。。。
高齢者単独、高齢者夫婦ではなかなか対応は難しいと思います。

 

今回のブログを書くきっかけも、こういった事例を共有したかったのですが。。。

 

・世の中は詐欺師のような悪い人が多く、企業は自分たちの責任が及ぶところは、どんなに意味のないことでもきっちりやり遂げる。

・でもその先の本人や家族が立ち行かなる部分にはあえて入り込まないように配慮してくれている。

・彼らは決してそれを言葉にしないので、とても冷たい対応のように見えてしまう。

・そして我々はイライラするのだが、慣れてくると腹落ちする。

 

ルールの善悪の判断に迷いがあったら是非「消費センター」へ。
実は、私は「消費センター」にもこの家族によるカードの利用について相談しましたが、結論はやはり成年後見人の相談窓口や税務署と同じでした。。。

 

田舎に高齢者のご両親がいらっしゃる方、ご両親のお金の流れについては是非とも把握されることをお薦めします!