プロローグ7 突然の同居反故の手紙
<2019年3月7日 私から長男へのレター>
リフォーム会社との騒動もあって、しばらくおじいちゃん(父)とは疎遠になり。
元来頑固なおじいちゃんなので、リフォームを説得するにも十分な時間をあけた方が得策と考えた。これも長男の長年の経験の賜物(笑)。これは作戦。
と、しばらく何もせずに放置していると。。。かなり日が経ってから。。。
おじいちゃんから一通の手紙が。。。
なんか嫌な予感。。。
電話でもなく、わざわざ手書きの手紙でしょ?
いい話ではないよなぁ~っと。。。
開けてみると便せんにびっしりと文字。
嫌な予感はまたしても的中。。。リフォーム反故の通告。
記憶では内容は以下の通りだったかと。。。
・本件について友人と相談し、下記結論に至った
・この家は私が友人の建築士と設計して建てた渾身の家である
・まだまだ斬新であり、近代的であり、気に入っている。リフォームする気はない
・自分はこの家の主であり、その地位を捨てる気はない
・つまり同居するなら、私の指示に従うことが条件である
・私は最上階の寝室を使うので、その他の部屋を使って欲しい
・家具なども今の使えるものを最大限利用すべきだ
・などなど
これは完全に私たち唯一の「同居メリット」が失われた瞬間でした。
当時住んでいた横浜の数多くのメリットを全部投げ捨てて、同居しようと一大決心した我々には、どうしても受け入れられない条件。。。
一例ですが、家の構造は少し変わっているのです。
おじいちゃんが居座る最上階の寝室にお風呂があり、そこには脱衣所がないのです。
つまり廊下で着替えて浴室に入る形式。
家族同士であれば、我慢もできますよ。
が、さすがにかみさんや子供達には無理。。。
リフォームしないとこの点は解決できず、かつ家具や食器、家じゅうに蓄積された数えきれないガラクタを処分しないと、私たちの生活用品はいっさい入る余地なし。
このときばかりは、さすがにカッとなり、手紙を読むなり勢いで電話、即「No」と回答。あえなくこの同居計画は破談となったのです。。。
その時の私の心の状況。。。
その1:
いったい、「友人」って誰? 退職後の飲み仲間か? はたまた小中学生時代の同級生?
おじいちゃんは付き合いの良い人なので良い友人がたくさんいたはず。
そのなかでこんな最低のアドバイスをしたのは誰?
その方の息子さんがろくでもない事をしたかもしれないが、私たちは違う。
「家の主を保つべき」とのアドバイスを受けたことが手紙にも書いてあり。。。
いったいぜんたい、なぜこんな理不尽なアドバイスをおじいちゃんに。。。。
と愕然とするのでした。。。
その2:
いつもは冷静沈着なおじいちゃんが、このような言動に及ぶ?
部屋割りや断捨離の拒絶は、同居を考えると物理的にあり得ない選択。
ひょっとして同居したくない? いや、そんなはずはない。
理系だし、この辺の事情は、愛着があってもすぐに呑み込むと思ってた。。。
「親孝行を申し出た息子家族」と「家の主」を両天秤にかけるとは。。。
な~んて事をウジウジと。。。
とにかく、この時、初めておじいちゃんが「冷静な判断ができなくなってきている」
イコール 「何かおかしくなってきている」となんとなく思い始めたのでした。
それにしても世の中、独居老人が多いといいますが(おじいちゃんは叔母と同居していたので、正確には独居ではない)、こんなようなすれ違いが原因なのかな?
親と子の意地の張り合い、価値観や物への愛着のズレ、ちょっとしたタイミング。。。
「独居老人」とひとくくりに考えてましたが、それぞれ深~い事情があるのだと。。。
ということで、また平穏な横浜生活に戻ったのでした。