プロローグ2 ガンの母を支えるおじいちゃん
<2019年2月24日付 私から次男へのレター>
5年前に胃癌で全摘術を受けた母が再発。膀胱癌でした。。
つらい抗癌剤治療を続けるながら、予定していた年間コンサートをこなす母。壮絶な闘病を支えていたのはやはりおじいちゃん(父)。心配し、安静を提案する子供たちにはうらはらに「本人がやりたいと言っているのだからいいだろう」と。母もすでに覚悟ができていたようです。「年内の予定はなんとか約束が果たせそうだわ」と言っていた気丈な母を今でも尊敬しております。
ある日、父から突然電話が。「お母さんがお腹が苦しくって耐えられないそうだ。腹水が溜っているらしい。抜くかどうかを家族で決めて欲しいって先生から言われてるんだけど、お前分かるか?」と。製薬会社勤務の私に頼ってきたのです。しかも今日明日中に返事が欲しいと。。。
さっそく、懇意にしている泌尿器科の数名の先生方にメールで問い合わせると、数分で返信メールや電話がたくさん。。。中には時差のある海外からも。
身体に必要な栄養も失うのでかなり大きな決断になるとのこと。つまり、もう末期であり、過酷な治療を継続するよりはターミナルケアへの移行を判断すべきとのアドバイスでした。多忙の中、母の状況をとても丁寧に解説して頂き、この時初めて「本当にこの仕事に就いて良かった」と思いました。
これらのアドバイスを簡潔にまとめ、父にメールするとすぐに折り返しの電話が。「頼りになる息子を持ってよかったよ。お母さんがどういう状態かよくわかった」と。それはおじいちゃんにとってもかなり悲痛な現実だったかと思います。母にどのように話たのかは最後まで聞けませんでしたが、辛かっただろうなぁ。。。