おじいちゃん介護のお手紙メモリー

おじいちゃん介護のお手紙メモリー

数年間に渡る父の介護が、父の死去とともに終わり早1年、いろいろあった出来事をイラスト・レターにしたため、介護に協力してくれた3人の子供たちにちょっとずつ送ることにしました。ただ送ってももったいないので、ブログに記録し、同じような介護生活を過ごしている方々に紹介しようと思いました。いつまで続くか、どこまで書けるかわかりませんが、笑いあり、苦労あり、涙ありの介護生活をどうぞご覧ください。

お葬式 4 代理のご住職

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No. 184

<2021年6月30日 私から長男へのレター>

さて、菩提寺ではないお寺でおじいちゃん(父)の葬儀を執り行うという事がいったいどういう事かというと。。。

 

まずは、みなさん、戒名はご存知ですね?

位牌や墓標に記す、亡くなった方の仏の世界でのお名前。。。

これって原則、菩提寺の住職さんが付けるものです。。。

 

うちのご住職によると、菩提寺で通夜・葬式が出来ない以上、戒名はまだもらえないとのこと。。。

なんと理不尽な。。。

仏陀様はそんな無慈悲な教えを説いたのでしょうか?

 

そもそも戒名自体、仏陀様が現在の様な使われ方をされるとは思ってもみなかったでしょう(この話題も後程。。。)。。。

 

 

さて、戒名がないとどうなるか?

 

そう、通夜・葬式の祭壇に置かれる、「位牌」に戒名がないということです。。。

どうなるかというと、白木に「故○○(名前)」と墨書きされるだけです。。。

 

これは結構インパクトのある光景です。。。

 

私もかつてそうであったように、若い方はほとんど無関心かと思いますが、家族や親せき等、身近な方の葬式をいくつか主体的に参加するようになると、「戒名」の意味する事も分かります。そして他人さんの戒名にも非常に興味が出てくるものです(あれ、私だけ?)。

 

戒名はその方の生涯の生き方、好きな事、尽くした事などが、ぎゅぎゅっと数文字の漢字に詰め込まれており、それを読むと「あぁ、あの人の生き様を、上手く戒名に反映したねぇ~」なんて、うんうん感心したりして。。。

ある意味、「戒名を作って授ける」ということは、お坊さんの知性や知識が一番問われる一大行事であり、実はこの私達の生臭坊主(おっと、失礼!)、授けてもらった母の戒名はかなりの見事な出来で、とっても関心しておりました。。。

なので余計に残念な今回の状況です。。。

 

という事で。。。

そう、当然、高齢者が圧倒的に多いおじいちゃんへの弔問者は気付きます。

会場はザワザワし、白木を見つめる高齢弔問者の頭の上には??マークがいっぱい。。。

 

「あれっ? 戒名が無いぞ?」

「もしかしてあの喪主(私)は通夜・葬式のお作法を知らないのかい?」

というような表情を。。。

 

そんな顔されても当然ですよね。。。

 

「こんな大事な時に戒名を貰えないなんて、菩提寺の住職と何か喧嘩とかしたと思われてるかな~?」と私の想像も膨らみます。。。

 

我が一族の日常を知り尽くしている親戚の方々からは、早速、「あの人、菩提寺のご住職じゃないようだけど、何かトラブルでもあったの? どうかしたの?」っと声を掛けてくれました。

 

ここでやっと、「菩提寺の都合で、なんとご住職が通夜・葬式に参加できず。。。今日はご住職から紹介のあったお坊さんに来てもらってるんです。。。」と事の顛末を説明しました。

 

あきれ顔で、「戒名ぐらい書いてくれなかったのか?」とも聞かれ。。。

「戒名は菩提寺の住職が授けるので、代理の坊主には書かせないって言われて」と。。。

 

こちらも、ご存知の方は知っての通り、戒名を頂くには結構な「お布施」が必要です。

つまり、「戒名のお布施は菩提時へ」っということでしょうか??

 

それにしても代理でいらしたお坊さん、本当に良い方でした。

葬儀後の説法やおじいちゃんへ送る言葉も、修行をしっかり受けた僧らしく立派なものでした。。。

それに対し、我が菩提寺の生臭坊主(おっと、失礼!)は今頃、「お楽しみ会」とは。。。(笑)

 

ともあれ、おじいちゃんは昭和初期生まれの典型で、「医者と坊主と弁護士は敵にするな」的なところがあったので。。。

 

きっと。。。

 

「こんなことで俺は怒りゃしないさ。菩提寺さんが檀家さんの為ならって言うなら致し方ないよ。お前も知らん顔して普通にしてなさい」っと言っただろうな。。。

 

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