おじいちゃん介護のお手紙メモリー

おじいちゃん介護のお手紙メモリー

数年間に渡る父の介護が、父の死去とともに終わり早1年、いろいろあった出来事をイラスト・レターにしたため、介護に協力してくれた3人の子供たちにちょっとずつ送ることにしました。ただ送ってももったいないので、ブログに記録し、同じような介護生活を過ごしている方々に紹介しようと思いました。いつまで続くか、どこまで書けるかわかりませんが、笑いあり、苦労あり、涙ありの介護生活をどうぞご覧ください。

お葬式 10 49日を迎えて

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No. 190

<2021年7月21日 私から長男へのレター>

おじいちゃん(父)の49日を迎えました。

親しい友人数人、母の友人数人、そして親戚一同が弔問に来ていただきました。

 

お堂には母と戒名を並べた小粋な位牌が飾られています。

ようやく戒名無しの白木から、きらびやかな戒名入り位牌に魂入れです。

 

生臭坊主(おっと、失礼!)の説法無しの法要は厳粛に終了。

私は骨壺を持って、息子達は大量のお塔婆を、娘は遺影を、かみさんは足の悪い伯母をエスコートしながらお墓に移動です。

なにせ年寄りだらけなので、移動は超ゆっくり(笑)

 

お墓に着くと、墓標にはこれもおじいちゃんの戒名が母と仲良く並んでいます。

ご参列のみなさんもようやく気が付き、笑顔になります。

そして、お墓にお骨を収めて終了です。

 

ふ~っ! これで一段落。

「おじいちゃん、いろいろとすったもんだありましたが、無事に終わったよ~」とつぶやきます。

 

法要の後は恒例のお会食。

おじいちゃんが法事でごひいきにしているいつもの中華料理屋の1室を借り切りて献杯

 

もちろん遺影の前には大好きなブランデーを。

そして、親戚一同、おじいちゃんが喪主の法要にはかならず出てくる大きなフカヒレを堪能です!これを目当てに法要にいらっしゃる親戚もいるかもしれないと思い、私もおじいちゃんに習って用意します。。。大きな出費です。。。みなさんからのお香典が頼りです。

 

娘はみなさんに中学合格の報告。

私は葬式の当日に号泣で話せなかったおじいちゃんのエピソードを披露です。

 

思えば、母の7回忌の時に、まさにこの部屋で親戚の方々からおじいちゃんとの同居を諭され、とっくに申し入れて断られた事実を本人を前に皆さんにも言えず苦しい思いをしたのが思い出されます。

 

それでも、それが決意のきっかけになったのも事実で、やっぱり親戚っていいなぁ~っと、あらためて思うのでした。

 

あれから長いようであっという間の6年間でした。

 

実家でのおじいちゃんと伯母との同居を決心し、同居の在り方を夫婦で腹を割って考え、2度目の同居の申し出を。。。

 

その後、実家のリフォーム会社を選定し、計画を練り上げ、おじいちゃんのいろいろなエピソードを聞きながら断捨離し、時には反対されながら計画を進め、三角庭の解体では大騒ぎに。。。

 

同時並行で横浜の自宅マンションの売却手続きに、買手候補の方の内覧対応、こちらも断捨離、新居用の家具購入、娘の小学校転校の準備に、マンション仲間とのサヨナラ会。。。

 

同居後は、おじいちゃんの日常の認知症症状に日々奔走し、伯母の度重なる骨折入退院の対応、義父の大手術をきっかけにマンションの引き払いとサ高住へのお引っ越し。。。

 

そして遂に、おじいちゃんも老人ホームへ入居。

間もなく誤嚥性肺炎で本当の病名が進行性核上性麻痺と判明し、一気に障害者、特定難病者となってしまい各種手続きで社会福祉の恩恵を。。。

 

胃瘻を導入するかを悩んでいる内に2度目の誤嚥性肺炎、そして中心静脈栄養となり、幸か不幸か我が家近くの医療介護施設へ転院。。。

 

すぐに、話すことができなくなり、手のニギニギで会話。。。

すぐに、手も動かなくなり、眼のまばたきで会話。。。

 

遂に力尽きて。。。

 

おじいちゃん、ほんとにお疲れ様。

振り返ると、私の家族の事情に合わせることで、いろいろと無理をさせてしまった。

認知症をいいことに、いくつかの決断はおじいちゃんにとって不本意なこともあったでしょう。

遠くの老人ホームでの一人暮らしは、やっぱりやっぱり寂しかっただろうなぁ。。。

冷蔵庫のビールが全く手を付けられていなかったのは小さな抵抗だったのだろうか。。。

 

「お前がいいと言うならそれに従うよ!」

「お前に全て任せた。いろいろと頼んだ!」

「俺はいい息子を持ったよ。。」

「何だか、いつも夢見心地なんだよ。。」

 

同居後の口癖。いったい、おじいちゃん、本当にほとんど認知できていなかったのだろうか?

かみさんとも時々、「本当は認知症の振りして、ちゃんと身の回りで起こっていることを理解してたんではないか? 認知症の振りをしているのではないか?」っと、

そんな風に話していました。

 

最期を迎えるにあたり、私達家族に悪態をつくことも、怒りをぶちまけることも、悲しみの表情を見せることも、遂にありませんでした。

 

本当に100点満点の「おじいちゃん」でした。

 

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