介護生活88 娘の名前を忘れたの?
<2019年11月8日 私から娘へのレター>
おじいちゃん(父)が老人ホームに無事に生還して暫く経ってからです。。。
娘と一緒に訪れると、おじいちゃんがベッドに横になっています。。。まだ、少し調子が悪いのかなぁ?
娘、嬉しそうに駆け寄り、「おじいちゃん、来たよ!」といつものように元気にご挨拶。
ところが。。。
おじいちゃん:「君は誰だったかなぁ。。。?」
私:「えっ! 忘れちゃったの?」
娘:「えーーーーーーーっ、おじいちゃん酷い!!!!!」
この頃、おじいちゃんのところに頻繁にお見舞に来ていたのは、ほぼ娘と私とかみさんのみ。。。
私もドライブ代わりに娘としゃべりっぱなしの1時間の旅を楽しんでいたのですが。。。
いつも老人ホームに着くと元気におじいちゃんの部屋へ掛け出していた娘です。。。
おじいちゃん、認知症になっても、人の名前だけは忘れないところが凄いっ!っと、ずっと思ってましたが、まさかここへきて孫娘の名前を忘れてしまうとは。。。
娘:「えーーーーーーーっ、酷すぎ!」
おじいちゃん:「忘れてしまったなぁ。。。なんだっけなぁ。。。。?」
娘、たまたま机に置いてあった便せんにすかさず大きく「M(←娘の名前)」と書いておじいちゃんのところへレッスンです。
娘:「私はMです。 Mですよ! Mを忘れないでね!」
おじいちゃん:「そうだった。すまんすまん」
お掃除のおばちゃん:「あらら、お孫さんの名前忘れるなんて。。。ひどいわね〜!Mちゃんよ!」
それにしても、この便せんに「M」と書いている娘。。。。
今にも泣きだしそうな顔。。。
なんだか、いつもお付き合いで来てくれてるんだなぁっ思ってましたが、すっかりおじいちゃんっ子になってたのかなぁ?
それもそのはず。。。おじいちゃんのいろいろな場面を見てきたのですからね。。。
認知症のおじいちゃんですから、いろいろと思わず笑ってしまう受け答えや動きなどもあり、帰りの車の中でよく娘と思い出し笑いをしてました。
娘: 「今日、おじいちゃん、ピノ(←小さいキューブ状のアイス)にピックなかなか刺さらなくておもしろかったね」(笑)
私: 「あー、もう力が入らないんだよ」
娘:、「私、さしてあげたら、食べなさいって。半分もらっちゃった」
とか。。。
娘: 「今日、おじいちゃん、プリンとるとき、スプーンがプルプル震えて、落っことしてたよね。プルプルって」(笑)
私: 「手のコントロールが出来なくなってきちゃったんだね。考えた事がなかなか手に伝わらないのと、プルプルは痙攣みたいなものだよ」
娘: 「私がすくってあげたら、私も落としちゃった」(笑)
こんな感じで、普通なら出来そうなことが出来なくなってることが多くなり、「あーあー」と悲観的な気分になっていくのですが、娘のポジティブな笑いへの転換は気分が明るくなります。
介護はネガティブな雰囲気だと疲れちゃいます。
レストランでのゲホゲホ、焼き肉屋で肩や腰をもみもみ、車椅子も押したことあったよね。。。そんな時も、面白おかしく話してたっけ。。。
さて、50代の私も最近よく仕事先の同僚の名前を忘れてえらいことになっています。
日々精進して名前と顔の一致だけでもやっておくべきですね。。。。これは笑えません。
娘には生涯忘れない、ショッキングな1日になってしまいました。。。
それにしても、日に日に言葉数が少なくなってきてるおじいちゃんでした。
追伸
このハガキが我が家に届き、「あの時のMのエピソードだよ」と渡すと。イラストをさっと見てすぐに「嫌だ。これ見たくない」と… 中学2年生になった娘、未だに思い出したくない思い出のようでした。