介護生活84 おじいちゃん、胃ろうを拒否!
<2019年11月4日 私から次男へのレター>
ケアマネさんと真剣な相談の結果、「まずはおじいちゃん(父)の答えを聞こう」ということにしました。この話は先生にもし、私からと先生からの2つのルートでしっかりおじいちゃんに話をすることにしました。
なお、中立的な聞き方ではなく、先生が「医学的には今、最も推奨する治療」と考えているのですから、「胃瘻をやろうよ」という説得の形で進めることにしました。
私も「胃瘻はした方がいいと思うよ」っという口調で話をする方が気が楽ですし、「胃瘻どうする?」という中立的な聞き方をするとおじいちゃんが「遠慮」や「気遣い」、「申し訳なさ」から意に反して「しなくていい」と言い出しそうだったためです。
よって、先生にも「父の意思が重要ですが、まずは薦めてみてください。迷っているようならむしろ説得してください」と。。。
ということで、善は急げ、私も会社帰りに病院に寄る事に。。。
私:「おとうさん。食べ物を呑み込む機能が落ちて食事がうまく取れないようになっているそうだよ。食べ物が気管に入って誤嚥性肺炎を起こしたんだって。先生から聞いてるよね?」
おじいちゃん:「。。。。。」
私:「誤嚥性肺炎は退院しても繰り返すらしいから、また老人ホームでゲホゲホして高熱を出すかもしれないって。。。それを防ぐ方法として胃瘻ってあるんだよね。。。胃瘻は知ってるよね?」
おじいちゃん:「。。。。。」
私:「胃瘻は、胃にカテーテルを直接通して、そこから食べ物を胃に直接入れていく方法だよ。手術も難しくないし、誤嚥性肺炎もある程度防ぐことができるって。」
おじいちゃん:「。。。。。」
私:「おじいちゃんの意思を大事にしようと先生とも話してる。おとうさんが嫌ならしないけど、僕はした方がいいと思うよ。口から食べることもできるので、調子悪い時だけ胃瘻を使えばいいんだよ。どうする?」
おじいちゃん:「嫌だな~。。。胃瘻は嫌だ。」
あっけない意思確認でした。。。
おじいちゃんが元気だった時によく聞いた話ですが、おじいちゃんはちょっとでも病気かなっと思うと直ぐに病院へ行っていたそうです。「だから大病に至らないんだ」と豪語する程です。行政的には税金による医療費の無駄使いであったかとも思いますが。。。
つまり、これほど予防的な措置には執念のようなものを持っていたおじいちゃんだったのです。
そんなおじいちゃんが、「嫌だな~」と言うとはやはりよっぽどの事です。
この「嫌だな~」という言い方も、明らかに私を気遣った言い方ではなく、チューブに繋がる自分が心底嫌だという嫌悪感のような言いっぷりだったのです。。。
車やテレビ、ビデオ、ウォシュレット、BS、液晶テレビなど、新しいものには直ぐには飛びつくおじいちゃんでしたが、こればっかりはやっぱり嫌だったんですね。。。
後日、主治医の女医さんに、先生からのアプローチの成果を聞きましたが、やはり「否!」とのことでした。。。
胃瘻をするかどうか?。。。かなり時間を掛けてかみさんやケアマネさんと相談しましたが、答えはあっさり。。。
全く取り乱さずこと無しに気持ち直球で「嫌だな~」という言葉が出てきたのには本当に驚きました。。。。
認知症のなせる業なのでしょうか?
やはりその場での一瞬の判断は元気だった頃と同じぐらい明晰なのでしょうか?
この時の本当のおじいちゃんの気持ちをもっともっと覗いてみたかったなぁ。。。