おじいちゃん介護のお手紙メモリー

おじいちゃん介護のお手紙メモリー

数年間に渡る父の介護が、父の死去とともに終わり早1年、いろいろあった出来事をイラスト・レターにしたため、介護に協力してくれた3人の子供たちにちょっとずつ送ることにしました。ただ送ってももったいないので、ブログに記録し、同じような介護生活を過ごしている方々に紹介しようと思いました。いつまで続くか、どこまで書けるかわかりませんが、笑いあり、苦労あり、涙ありの介護生活をどうぞご覧ください。

断捨離6 宝くじを発見!

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No. 16

<2019年3月17日 私から長男へのレター>

断捨離の一つの楽しみはお宝探しである。

 

特に年老いた両親は、どうでもよくなって、ほっておかされた物が意外と家の中にあふれていて、その中に意外と価値があるものがあったりする。

 

あるいは、持っていること自体を忘れたり、どこかに置き忘れちゃったり。。。

 

実は認知症の家庭こそ、家の各所にこういったお宝が眠っていたりするもので、断捨離は一種のトレジャーハンター気分にもなれるのである。

 

うちの場合、断捨離は当時小学生だった娘がよく手伝いに来てくれた。

 

分別したり、ゴミ袋に詰めてくれたり、あちこちに運んだりと。。

実にテキパキとお手伝いしてくれる。

 

お手伝いの大きな理由の一つは、お昼や夕飯におじいちゃん(父)がおいしいお店に連れて行ってくれ(私が連れて行くのだが。。。)、お手伝いのお礼にジュース飲み放題(時にはデザート選び放題)にありつけるからである。

 

そしてもう一つのモチベーションが「宝探し」!

 

「パパ、こんな物があったーっ」

「これ何? 何? 何?」

「これまだ使えるの?」

 

遠くの部屋で娘のうわづった大きな声が聞こえると、顔をニヤニヤさせながら「なんだ、なんだ」と小走りで駆け寄るのである。。。

 

これこそトレジャーハンター気分。

 

アドレナリンが放出され、どんな金鉱を掘り当てたのか、どんなダイヤの原石を拾ったのか。。。そんな煩悩の塊となって、娘に駆け寄るのである。

 

しかも通常の宝探しよりも、ずっと掘り当てる確率は高い。
なぜなら家の中のお宝は、ほとんどがどこかに大切に保管されているからである。

 

断捨離で最初に目についたのが、レター置き場に無造作に置かれた「宝くじ」。

 

その名の通り、最も分かりやすい「宝」なので、娘はすぐに見つけ出し、すぐにその価値を理解した。

 

「これ当たってるやつ?」

「まだ抽選前かなぁ?」

 

煩悩パパはすぐに娘から取り上げ、「ちょっと待って。調べる!」と。。。

抽選日を調べて交換日が過ぎていないか、娘と一喜一憂。

 

はい。他の引出しなどからも出てきて、合計10束ほど見つけましたが、大半が期限切れになってました。未開封もいくつか。。。

 

この宝くじの状況をみると、実はおじいちゃんの認知症の進み具合が客観的に見て取ることができます。

 

・3年前ほど以前の未交換宝くじは、存在自体なし。→ まだ明晰だったんだ。
・その後、開封しているが、未交換の宝くじがちらほら → 認知症が始まった頃?
・そして1年前ほど前からは、ほぼ未開封。。。→ 買った事を覚えてない。。認知症

 

宝くじの交換期間は当選日から1年。
期限内で換金可能なのは3束ありました。
しかも未開封

 

家に持ち帰ったら大騒ぎ。
「当たったら、やっぱりおじいちゃんのだよね。。。」
「どうする1億円当たったら? 相続の時に大変じゃない?」
「パパが買ったと言っても分からないじゃない???」
「おじいちゃんと共同で買ったということにしようか???」

 

なんという不埒な考え。。。

 

「当たったらおじいちゃんと海外旅行かなぁ。。。」
「車は? 介護機能付きならおじいちゃんも喜ぶし」
「意外とこういう見捨てられた宝くじって当たるんだよね~」

 

なんという煩悩家族。。。
でも、みんなちょっとHappyな気分。

 

さっそく宝くじ売り場に行くと、自動照合機というものがあり、パラパラパラと一瞬で結果が表示されます。これにはびっくり。

 

そして、周りには若干名のギャラリーがいたので注目の的!


なんと最初の1束で「3000円」の表示が出て、まわりからは「わっ」と歓声が(笑い)
その次に1000円でまた「わっ」と歓声が!
煩悩の塊の私も「100万円でたらどんな顔をしようか?? まいったなぁ。。」と。。。

 

最後は300円の2本でした。

 

ギャラリーはちょっとがっかりな感じでしたが、私としては5000円弱のお小遣いが手に入ったので、ニコニコ(おじいちゃんがこの宝くじを9000円で購入しているのですが。。)。

 

しかも、「断捨離で無意識に破棄していたら、永遠に手に入らなったお金」と思うと、さらに何だかとっても得した気分に。。。

 

「神様に導かれたのかも?」

 

そういう風に考える私たちは、やっぱりしがない小市民なのです。

 

早速これはおじいちゃんに報告。正直にね。

「そうか、当たってたか。」
「いつ買ったやつかなぁ。。。すっかり忘れてたなぁ。。」
「これは俺のお金か?」

 

有効利用ということで、夕飯に焼き肉屋に行くことが決定。
このラッキーマネーを足しにして御馳走を食べよう!

 

おじいちゃんの買った宝くじで、ワクワクドキドキ。
そして当たったお金で家族全員そろって焼肉大会。

 

この宝くじは、おじいちゃんとわが家にとっては「大当たり」でしたね。