おじいちゃん介護のお手紙メモリー

おじいちゃん介護のお手紙メモリー

数年間に渡る父の介護が、父の死去とともに終わり早1年、いろいろあった出来事をイラスト・レターにしたため、介護に協力してくれた3人の子供たちにちょっとずつ送ることにしました。ただ送ってももったいないので、ブログに記録し、同じような介護生活を過ごしている方々に紹介しようと思いました。いつまで続くか、どこまで書けるかわかりませんが、笑いあり、苦労あり、涙ありの介護生活をどうぞご覧ください。

お葬式 8 位牌と墓石への名入れ

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No. 188

<2021年7月14日 私から次男へのレター>

49日法要までにすること。

位牌と墓標におじいちゃん(父)の戒名を入れること。。。

 

以前、ご紹介したかどうだか。。。

おじいちゃん、母が亡くなった時に、母の戒名の入った墓標を新たにお墓に設置したのです。しかも自分の戒名を後で入れられるように右側に一行スペースを空けて。。。

位牌も同じように、母の位牌の右側を一行空けて、仲良く2人が並ぶように作ってあります。

 

亡くなってからも仲の良い2人。。。

私達夫婦も大いに見習うべき良き先輩熟練夫婦です。。。

自分の親ながら、ほんとに素敵です。

 

さて、墓標へおじいちゃんの戒名を彫るのはいたって簡単。

菩提寺のごひいき石材店の職人さんが綺麗に彫ってくれます。

もちろん納骨時に心づけが必要です。

 

大変だったのが位牌。。。

母の位牌は、例のおじいちゃんが契約していた葬儀屋さん系列、新宿のあるデパートの仏具店で作成したことが領収書で判明したので、早速、行ってみました。

 

私:「父の戒名なのですが。。。母が亡くなった時に作った位牌に父が自分の戒名を入れるスペースが作っていたので、そこに父の戒名を入れて貰えないでしょうか?」

 

店員:「は、はい。。。。少々お待ちくださいね。」っと、奥へ行って上司に相談。。。

 

私:「あれ?そんなに難しい事なんでしょうかぁ?」

 

しばらくすると、そわそわしながら先ほどの店員が戻ってきて。。。

店員:「この位牌に戒名を入れる場合ですが。。。当店は東北の彫師に空輸してるのですが。。。」

 

私:「何か不都合でも?」

 

店員:「普通、購入した位牌には魂が入ってないので、特に問題なく戒名を彫らせていただいてます。。。そして49日に戒名を入れ終えた位牌にご住職さまが故人の魂入れをするのです。。。つまり、この位牌。。。今、お母様の魂が入っているわけです。。。」

 

私:「。。。。??」

 

店員:「あの~、何が言いたいかと言うと。。。正式には一度、ご住職さまにお母様の魂を抜いてもらい、魂の入っていない空の位牌にお父様の戒名を追加で彫り、その後、再びご住職さまにお二人の魂入れの法要をしていただくのが正式なやり方になるのです。。。」

 

私:「ということは、母の魂抜きのための法要+母の魂入れのための法要+父の魂入れのための法要のトリプル法要が必要ってことでしょうか?」

 

店員:「厳密にはそういうことになります。。。」

 

私:「法要のお布施が3倍ってこと!? いやいや失礼、お金の問題よりも、49日の法要までにとても間に合わないです~」

 

ここで再び白木の法要の恐怖が頭をよぎります。。。

 

こおルール、絶対におじいちゃん知らなかったよな~

こんなロマンティックな位牌なのに、こんなややこしいお作法があったなんて。。。

知ってたら、おじいちゃんもここまでやらなかったはず(笑)!

仏教、奥深すぎ。。。

 

というか、「位牌」が何のためにあるのか知らなかった。。。

単に故人の戒名を忘れないようにメモした板切れ、派手に装飾した仏具的な板切れかと思ってましたが。。。

 

実はそんな軽々しい物ではなく、しっかりと故人の魂が入った、いわば故人の仏としての化身だったのですね。。。

いや~っ、全くそんな意識を持って位牌を見ていませんでした。。。

仏壇に入っている位牌には「立派な装飾」、「立派な戒名」、「一族の生きた証」ぐらいの認識しかなく、ここに故人が入っているんだという感覚は全く欠けてました。。。

母も位牌の上で飛び交う私のこの会話を聞いていて苦笑しているかも(笑)

 

顔面蒼白で困った顔を暫くしていると。。。。長い長い「暫く」でしたが。。。

 

店員:「大丈夫ですよ。最近はそこまで深刻に考えずに、魂抜きの法要をスキップする方も多いので。ただ、時々、そういう事に厳格なご住職さまやご親族様がいらっしゃるとトラブルになるので、一応申し上げた次第です。お客様が問題ないとおっしゃるなら、このままお父様の戒名をお彫りいたします。」

 

私の心の中:「え~~っ、も~~っ、早く言ってよ~~。間に変な沈黙入れないでよ~~」

 

ということで、もちろん「スキップOKです!」と即答。。

生臭坊主(おっと、失礼!)が文句を言うかもしれませんが、もう時間優先で押し通します!内緒にしておこう。

 

あ~、ほんとに焦った。。。

 

ここでようやく店員さんからも

「素敵な夫婦ですね~」とか、

「お父様、お母様をとても愛していらっしゃったのですね~」とか、

砕けた会話に。。。

私は冷汗びっしょり(冬の厚着で暖房の効いたデパートでこんな話を聞かされたらね~)

 

#介護 #介護関係 #介護者 #老人ホーム #認知症 #イラスト #手紙 #レター #葬式 #葬儀 #弔問 #生臭坊主 #通夜振る舞い #位牌 #墓石 #墓標 #墓誌 #名入れ

お葬式 7 ようやく戒名授与

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No. 187

<2021年7月10日 私から長男へのレター>

さて、生臭坊主(おっと、失礼!)こと、菩提寺のご住職からようやく戒名を賜る事に。49日の法要(いよいよ納骨)の日程調整を兼ねて電話でお話しです。

 

以前、ご紹介した通り、不愛想極まりないご住職なので、「Faxで故人の生涯の生き方、好きな事、尽くした事などを書いて送って下さい」とそっけない指示。。。

 

母の戒名をお願いした時は、おじいちゃん(父)と一緒に考えたので、コツは得てましたので、早速、かみさんと相談。

 

「母とはとっても仲良かったな~」とか、

「新しいモノ好きで、ビデオや衛星放送など、何でも発売直後に購入してたな~」とか、

「旅行が大好きで、定年退職後は母と世界各国を旅してたな~」とか、

「歳をとってもいつも上昇志向で勉強を怠らず、感心だったな~」とか。。。

 

ということで、おじいちゃんの戒名の中には上記を上手く表現したぴったりな漢字が入り、とても素敵な仕上がりになったのでした。

 

父は母の戒名に自分の名前の一文字入れたので(ラブラブです)、父の戒名には私達のリクエストで母の名前の一文字を入れて貰いました。

かなり素敵な戒名。。。ここで公表できないのが残念。。。

 

思わず、「この生臭坊主め~っ、上手く作りやがって!」と、いつもの悪態とはならず、不覚にも大きな尊敬の念が満ち満ちてしまった(笑)

もしかしたら、おじいちゃんは死ぬ前の元気な頃に、この素敵な戒名を住職と決めていたのでは?っと思ってしまうくらい。。。

 

さて、戒名に対するお布施の話も出てきます。泥臭い話ですが避けられない。。。

生臭坊主(おっと、失礼!)からは、「お母さんと同じ「位」なら〇万円が目安です」と大金をあっさりと要求されます。

 

戒名についても、なかなか知らない方がいらっしゃると思いますが、ここで少し説明します。

本来は仏陀の弟子達の「修行の過程」によるグレードのようなものだったようです。「天は人の上に人を作らず、人の下に人を作らず」理論でいうと、仏陀さまにしてはあまりに不平等な制度ですが、そもそも弟子の出来の良し悪しを表すための「位」?なのですから(←厳密にはたぶん違うと思いますが。。。)、我々凡人にもこんな立派な戒名が付くなんて、仏陀さまも当時は想定してなかったかと思います(笑)

 

いろいろと人に聞くと「まぁ、一般人なら生前の菩提寺に対する貢献度が評価されるのでは?」ということで、お布施(=貢献度)が一番直近の貢献度で分かりやすいのかもしれませんね。。。ただし、これは生前でなく、亡くなった後なのですが。。。いや、納骨前(49日中)なので現世ですね。。。(笑)

 

もちろん、菩提寺を持たない、あるいは遠方で急な葬儀の際も、その時に葬儀を執り行ったお坊さんには、ほんとうの気持ち程度の額でも立派な戒名は付けてくれるそうです。今やネットでもお布施を振り込めば戒名を作ってくれるという時代ですからね。。。

 

とはいうものの、おじいちゃんは昭和生まれの根っからの江戸っ子です。

生涯を通じて、菩提寺への仁義はしっかり通してきた人です。

 

母の戒名作りの際、私にはまったく理解できないお布施の金額だったので、お恥ずかしながらおじいちゃんに思わず「これはぼったくりでは?むちゃな言い値じゃないか。交渉できないの?」と訊いてしまいました。

おじいちゃんは、ぼそっと「お母さんの遺した遺産でまかなうんだからお前が心配することではないだろう」と即答で一蹴。。。

 

当時は「う~~ん?」と思いましたが。。。

 

それから数年経ち、一族の法要などを父に代わって何度も執り行っていると、「我々は菩提寺に対しこれまで何を貢献しただろうか?」という想いを馳せられるように成長し。。。

日常のお勤めは当然として、お墓の掃除、時として工事や整備、お堂の維持管理、法事のお知らせなど、そしてご住職も家族や通常の生活があるわけですし。。。

 

どこからお金が出ているのか。。。? っという疑問。。。

月極めで納めてるわけでもなく、年会費があるわけでもなく。。。

 

そして答えは「そっか、お布施だ」。

「法要・法事で一括払い」だったんだ!

 

49日を過ぎると、1周忌、3回忌、7回忌ですから、納めたお布施を年間費で考えると、なるほど大した金額ではないです。しかも弔問者からはお香典だってちゃんといただいているんですしね。

 

お布施をケチるとどうなるか?

1人2人ならまだしも、大勢がケチるとお墓は荒れ放題、お堂の設備も定期的なリニューアルができず朽ち果て、お仏像の埃も払えず。。。結局、不利益は檀家に返ってくるのです。

 

だから「檀家のお楽しみ会」って、ご住職にはとても大事だったんだな~っと、あらためて気が付き、ちょっぴり寛大な気になってきました(笑)

 

ということで、おじいちゃんのお戒名は、おじいちゃんの遺産(葬式代として生命保険にきちんと入ってました!)から全額用立てるので「言い値」で対応しました(笑)。

まぁ、ほんとうに良い戒名を頂いたので、おじいちゃんもこれなら納得でしょう!

 

なお、「お布施」もそのままご住職の懐に入るわけではないそうです。

地区の宗派事務局を通過して本部へ集金。。。

そのお金は時として、どこかで困っているお寺に補填されている(共済保険のような感じ?)とも聞いてます。それなら納得、喜んで!

 

ちなみに。。。

若き日のお仕事での接待時、いわゆる夜のクラブに小坊主2名(20代そこそこの若造?)を連れだった、いかにも高僧の装束と風貌をした生臭坊主が堂々と入って来て、30分程歓待を受けて出ていくのを見たことがあるのですが、まさかこんなところにお布施が使われていないことを祈るばかりです。。。

 

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お葬式 6 死亡診断書と死体埋火葬許可書

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No. 186

<2021年7月7日 私から娘へのレター>

通夜・葬式が終了したわけですが、49日を迎えるにあたって、その間にあった火葬までの段取りについてここでご紹介します。

こちらもご経験のある方はご存知かと思いますが、故人を偲ぶ暇もなく、喪主である家長は慌ただしい毎日を過ごします。

 

病院から自宅への搬送時に死亡診断書を頂きますが、ここにおじいちゃん(父)の亡くなった日時や死因が記載されます。

おじいちゃんは最期、静かに息を引き取ったのですが、病歴は「進行性核上性麻痺の診断」→「2度の誤嚥性肺炎」→「中心静脈栄養の導入」でしたので、入院の直接の原因はこの中の「誤嚥性肺炎」となり。。。

つまり直接死因は「慢性誤嚥性肺炎」でした。

 

誤嚥性肺炎で緊急入院した病院から、最後の療養介護型老人ホームへ引っ越しした際には既に肺炎は治まっていたので、中心静脈栄養での栄養が身体の衰弱で吸収できなくなった事による衰弱死。。。つまり私的には「老衰」のような気がするのです。。。

 

が、診断書には「慢性誤嚥性肺炎」。

 

日本人の8割が病院で死を迎えると前にも書きましたが、「誤嚥性肺炎」は死因の第6位です。第3位の「老衰」にして欲しかったなぁ~(笑)

 

この「死亡診断書」をお役所に持っていくと、「死亡埋火葬許可書」が発行されます。

なるほど勝手に処分したらいけませんしね。

 

今は海での散骨っていうのもありますが、許可なしに行うと死体損壊にあたったり、お世話になっている寺社仏閣からは改葬許可証が求められたりとするそうですが、厳密に言うとグレーゾーンで違法ではないそうです。

 

もちろん、おじいちゃんにそんな希望はないのですが。。。

お骨でぎゅうぎゅう詰めのお墓の中を覗き込むと、「私のお骨のスペースはあるのだろうか~?」っと真剣に考えちゃったり。。。

「かみさん先に逝っちゃったら、この中ではかなりアウェーだなぁ~」っと心配になったりします。

 

火葬場では、この許可書の提示が必須なので、火葬が終ると「火葬済み」の判を頂き、これを持って、ようやくお墓に埋葬して頂くことになります。

 

長い道のりですが良くできた書類の流れで、「お役所も間違いを起こすことなく、こういう仕事を毎日続けてられてるんだろうな~」とか、「毎日、窓口で何枚ぐらい発行してるんだろう?」とか、いろいろと考えてしまいます。

 

葬儀では号泣の私でしたが、火葬が終り、骨と灰になったおじいちゃんを見て、ようやく一段落ついたという「安堵感」に浸ったのでした。

 

まだまだその後の多くの手続きが残っているのですが、それが終って初めて「介護終了」ということになるかなっと、今は思っています。

 

ですので、もうしばらく「”亡きおじいちゃん”の介護」は続きます(笑)。

 

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お葬式 5 愉快なお葬式でした

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No. 185

<2021年7月3日 私から次男へのレター>

通夜・葬式の後は恒例の「通夜振舞い」です。

弔問して頂いたおじいちゃん(父)ゆかりの方が集まり、ワイワイガヤガヤ故人を偲びます。

 

「会社の同僚」、「学生時代の友人」、「親戚」、この3つのグループに大きく分かれるのですが、みなさん、おじいちゃんを良く知った方ばかりなので、それはそれは盛り上がりました。

 

★学生時代の友人たち

幹事好きのおじいちゃんは幼稚園、小学校、中学~大学のそれぞれの同窓会で幹事をやっていたので、同窓会メンバーや幼少からのお友達がわんさか来ていました。

断捨離の際、幹事が取りまとめる会費の出納帳や会員名簿が出てきたので、幹事メンバーの一人に訃報を知らせると、たちまちそのネットワークに乗って、ほぼ全ての友人たちの知るところになった訳です。

これって、紙ベース(打ち出し)の管理であったこそなせる業で、今みたいに電子媒体に入ってたら、私は絶対に見つけることができなかったと思います。

みなさん、ご自分のお葬式に備え、名簿の最新版は紙に打ち出しておきましょう(笑)!

さて、着席時はさらに「幼稚園グループ」、「小学校グループ」、「中学~大学グループ」に分かれますので、それぞれの思い出話も違います。

私の知らないおじいちゃんが幼少だった頃や、青年だった頃のお話をたくさん聞かせてくれて、それはそれは愉快でした。

ただ、みなさん「同い年」ということで、後半の話題はもっぱら。。。

「あいつが昨年死んだ」とか、

「一番元気だったあいつが病気でもうすぐ逝ってしまうかもしれない」とか、

「だんだん仲間が少なくなるなぁ~」とか、

「寂しくなるなぁ~」とか、

「次は俺かな~」とか。。。

笑って良いのか、悪いのか。。。(苦笑)

恐らく私にとっては二度と再会することの無い方々なのですが、「この方達も大切なご家族がいて、その方達にいろいろな形でサポート(介護)を受けてる(将来受ける?)んだろうな。。。」と思う訳です。

 

★会社の同僚たち

私個人は、「会社の同僚との関係って会社を辞めたら多くが終わってしまう」という非期待論者だったので、おじいちゃんの会社同僚弔問者の多さにはびっくりしました。引退後でもこんなにみなさん来てくれるなんて。。。なんだか羨ましい!

でも、話を聞くと納得。。。現役時代、みんなと相当に楽しく過ごしていたようですね。麻雀、スキー旅行、社員旅行、お食事会と。。。まさに高度成長期の企業戦士たち。。。

「私、あなたのお父さんに麻雀の手ほどきを受けたのよ!」っというおばちゃんも(笑)

母は麻雀知らずなので、これを聞いたら嫉妬したかも(笑)?

 

他にも。。。

「お父さんのスキーはかっこよかったぞ!」とか

「お父さん、お酒強かったよな~」とか

もしかして、かなり不良社員だった?

 

でも、これだけ慕われてたなら、良い人生だったのでしょう。。。

「死んだときに故人の価値が初めてわかる」っていいますが、父はみなさんの評価に値する本当に良い人だったようです。

素敵だなっと心底思いました。

天国にいる母も、「私の旦那さんよ!」っとさぞかし自慢気でしょうね。。。

 

★親戚たち

先に亡くなった母方の親戚を含め、ほぼほぼ私の「いとこ世代」は勢揃いでした。

親戚ってありがたいものです。血の繋がった集団ってなんだか不思議ですよね。

太古の人類がよちよち歩きで作った最初の集団そして社会ですから。。。

なんとなくいつも集まってくれて、一番じ~んと来るのは彼らです。

 

おじいちゃんには上に4人の姉、1人の兄がいたので、私は「いとこ達」の中ではほぼ一番年下になります。なので私より先に大人になった「いとこ達」も私の知らないおじいちゃんとの触れ合い話に花が咲きます。

 

「就職活動で悩んだ時にいろいろとアドバイスを貰ったんだよ」とか、

「悩んでた時に転職を思いとどまらせてくれた」とか、

「とても厳しくていつも怒られてばかりだったから、褒められると嬉しくてね」とか、

「社会人になって直ぐに銀座に連れて行ってもらい、クラブでの嗜み方を教えてもらった」とか(笑)、

お酒が入ってくると。。。

「そんなお父さんの長男がどう一族をけん引するのか、みんな注目してるよ!」なんて言われたりして。

 

嬉しかった一言は、やっぱり。。。

「ほんとうにいいお葬式だったよ」とか

「介護、立派にやり終えて、お父さんも本当に感謝していると思うよ」とか

またまた涙がこぼれるのでありました。。。

 

蝶ネクタイの遺影の前には大好きだったブランデーを一本置きましたが。。。

会が終わるころには空っぽ。。。

おじいちゃん。。。

あらためて献杯

 

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お葬式 4 代理のご住職

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No. 184

<2021年6月30日 私から長男へのレター>

さて、菩提寺ではないお寺でおじいちゃん(父)の葬儀を執り行うという事がいったいどういう事かというと。。。

 

まずは、みなさん、戒名はご存知ですね?

位牌や墓標に記す、亡くなった方の仏の世界でのお名前。。。

これって原則、菩提寺の住職さんが付けるものです。。。

 

うちのご住職によると、菩提寺で通夜・葬式が出来ない以上、戒名はまだもらえないとのこと。。。

なんと理不尽な。。。

仏陀様はそんな無慈悲な教えを説いたのでしょうか?

 

そもそも戒名自体、仏陀様が現在の様な使われ方をされるとは思ってもみなかったでしょう(この話題も後程。。。)。。。

 

 

さて、戒名がないとどうなるか?

 

そう、通夜・葬式の祭壇に置かれる、「位牌」に戒名がないということです。。。

どうなるかというと、白木に「故○○(名前)」と墨書きされるだけです。。。

 

これは結構インパクトのある光景です。。。

 

私もかつてそうであったように、若い方はほとんど無関心かと思いますが、家族や親せき等、身近な方の葬式をいくつか主体的に参加するようになると、「戒名」の意味する事も分かります。そして他人さんの戒名にも非常に興味が出てくるものです(あれ、私だけ?)。

 

戒名はその方の生涯の生き方、好きな事、尽くした事などが、ぎゅぎゅっと数文字の漢字に詰め込まれており、それを読むと「あぁ、あの人の生き様を、上手く戒名に反映したねぇ~」なんて、うんうん感心したりして。。。

ある意味、「戒名を作って授ける」ということは、お坊さんの知性や知識が一番問われる一大行事であり、実はこの私達の生臭坊主(おっと、失礼!)、授けてもらった母の戒名はかなりの見事な出来で、とっても関心しておりました。。。

なので余計に残念な今回の状況です。。。

 

という事で。。。

そう、当然、高齢者が圧倒的に多いおじいちゃんへの弔問者は気付きます。

会場はザワザワし、白木を見つめる高齢弔問者の頭の上には??マークがいっぱい。。。

 

「あれっ? 戒名が無いぞ?」

「もしかしてあの喪主(私)は通夜・葬式のお作法を知らないのかい?」

というような表情を。。。

 

そんな顔されても当然ですよね。。。

 

「こんな大事な時に戒名を貰えないなんて、菩提寺の住職と何か喧嘩とかしたと思われてるかな~?」と私の想像も膨らみます。。。

 

我が一族の日常を知り尽くしている親戚の方々からは、早速、「あの人、菩提寺のご住職じゃないようだけど、何かトラブルでもあったの? どうかしたの?」っと声を掛けてくれました。

 

ここでやっと、「菩提寺の都合で、なんとご住職が通夜・葬式に参加できず。。。今日はご住職から紹介のあったお坊さんに来てもらってるんです。。。」と事の顛末を説明しました。

 

あきれ顔で、「戒名ぐらい書いてくれなかったのか?」とも聞かれ。。。

「戒名は菩提寺の住職が授けるので、代理の坊主には書かせないって言われて」と。。。

 

こちらも、ご存知の方は知っての通り、戒名を頂くには結構な「お布施」が必要です。

つまり、「戒名のお布施は菩提時へ」っということでしょうか??

 

それにしても代理でいらしたお坊さん、本当に良い方でした。

葬儀後の説法やおじいちゃんへ送る言葉も、修行をしっかり受けた僧らしく立派なものでした。。。

それに対し、我が菩提寺の生臭坊主(おっと、失礼!)は今頃、「お楽しみ会」とは。。。(笑)

 

ともあれ、おじいちゃんは昭和初期生まれの典型で、「医者と坊主と弁護士は敵にするな」的なところがあったので。。。

 

きっと。。。

 

「こんなことで俺は怒りゃしないさ。菩提寺さんが檀家さんの為ならって言うなら致し方ないよ。お前も知らん顔して普通にしてなさい」っと言っただろうな。。。

 

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お葬式 3 菩提寺で葬式できず!

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No. 183

<2021年6月26日 私から娘へのレター>

ここからは、またまたとても信じられないおじいちゃん(父)の葬儀にまつわるビックリな話をご紹介します。

 

葬儀の喪主なんて、よっぽど不幸が続かなければ一生に数回。。。

そう考えると、私が経験した事は恐らくみなさんが経験することはほぼ無いでしょう。

それほど稀な経験なので、皆さんには全く参考にならないかもしれません(笑)。

 

はい、タイトルにあるように、なんと菩提寺で通夜・葬式が出来なかったのです!

 

さて、病院でおじいちゃんが亡くなり、葬儀屋さんがおじいちゃんの亡骸を自宅へ搬送してくれて、ようやく葬儀の日程調整のため菩提寺に連絡します。

 

菩提寺のご住職、母の葬儀の際もちょっと不愛想で寡黙だった方。。。

ちょっと緊張気味に電話を掛け、おじいちゃんが亡くなった事と通夜・葬式の日程について相談しました。

 

するとご住職、「困ったなぁ~、当分、うちでは葬儀出来ないんだよ」っと。。。

 

「えっ」って感じですよね?

「出来ないって、どういうこと?」って。。。そう思いますよね?

 

「正月明けのこの時期、檀家さん向けのお楽しみ会をやってるんだよね~」とご住職。

 

「えっ、お楽しみ会って。。。それって、葬儀が出来ないのとどういう関係でしょう?」と私。

 

「お楽しみ会の案内はもう送っちゃったんだよね。。。みんな楽しみにしてるんだよ」とご住職。

どうも、お堂でそれをやるらしく、準備やらなにやらで1~2週間、法要が出来ないとの事。。

 

「えっ、ではどうすれば。。。1週間ぐらい待てってことでしょうか?」と私。

信じられん!

 

「あっ、そうそう大丈夫。同じ宗派のご住職を紹介するから、そこでやりなさい」とご住職。

 

「えっ、菩提寺があるのに他のご住職に葬儀を執り行ってもらうのですか?」と私。だんだん怒りがこみ上げてきます。。。

 

「こういうことはよくある事だよ。大丈夫、大丈夫。連絡してあげるから」と住職。

 

「"こういうことはよくある事"って。。。あなたはそうかもしれないけど、私達、遺族にとっては親の葬儀は最初で最後でしょ!」っと心の中で叫び。。。

でも、ここはぐっと堪え。。。

 

「医者と坊主と弁護士は友人に持て」とはよく言ったもので、その逆は「医者と坊主と弁護士は敵にするな」って事ですよね??

 

この菩提寺、少なくとも祖父の前の代から一族がお世話になっているはずで。。。

亡き祖父、亡き祖母、そして亡き母もここで葬式を執り行い、母や伯母は、しょっちゅうお布施集めのための説法に聞きに行ってたはず。。。それだけに、なんという仕打ちでしょう!

 

実は、母の葬儀の時や、その後のいくつかの法要においても、お経の後、ご住職からまともな説法や簡単な故人への想いのお話はいっさいなく、我が一族の外からやって来たかみさんも、これにはびっくりで、二人で「不愛想な手抜き坊主だなぁ~(失礼!)」と揶揄していたのです。。。

 

ということで。。。すみません、ご住職、私達夫婦の中ではこの日を境に名実ともに「生臭坊主(失礼!)」と呼ぶことになりました。。。

 

おじいちゃんとはいうと。。。

家にこのまま長期間放置はできないので、自宅から離れ、葬儀屋さんの安置室へ移動してもらったのでした。。。

 

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お葬式 2 会員制葬儀社に加入してた!

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No. 182

<2021年6月23日 私から次男へのレター>

さて、今回は葬儀社さんについてお話しします。

 

用意周到なおじいちゃん(父)は、なんとある葬儀社さんと葬儀の総合サポートの契約まで結んでいたのでした。。。びっくり!

母の葬儀でも大活躍だったので、父が喪主の葬儀を手伝った私もしっかり覚えており、これだけはおじいちゃんが入院している最中に事前に書類を見つけ出していたのです。そう、迅速対応です。

 

パンフレットには「葬儀代、会員様は50%!」と華々しく謳ってますが、やはりこれにはカラクリはあります(恐らく。。。)。

 

そう、そもそもの値段設定が高く設定されているのでないか疑惑!

 

もちろん葬儀屋さんは「他の葬儀屋さんの使っている資材よりも豪華仕上げです」とか、「見栄えが全然違います」とか言うのですが、既に私は母と義母の葬儀を見て比較していますので、おっしゃっている細かい相違なんかは、相当高貴な方にしか判別できない程度でしょと。。。故人への想いを超えてまで、目につくような相違なんて普通は無いものです。

 

カタログを見ると、病院で紹介してもらう葬儀屋さんのサービスと同額のセット(半額のセット)とは見た目は大きな差はなく。。。。

結局、「50%引き対象外」の花の種類や数、棺桶のグレード、遺影周りの装飾、枕飾りの豪華さなどが一番高額で予算の大半を占め、かつそれらが葬儀をより豪華にみせる一番の要因になっているのです。こっちが半額だったらいいのにね。

 

とはいうものの、せっかくおじいちゃんがここまで用意してくれた葬儀屋さんなので、素直にお願いすることにしました。花は白のみを基調とするのはつまらないので色とりどりに、棺桶は豪華装飾付に、遺影は電飾で光るようになど。。。いろいろ選択肢がありましたが、我が家はお花のみ少し豪華にしたかな?

 

はい、もちろんこの葬儀屋さん、大手だけあってスタッフの皆さん、親切でテキパキと、本当に満足な葬儀をしていただきました。父、母とダブルで感謝、感謝です。

 

みなさん、葬儀屋さん選び、特に選択してない場合は病院などで僅か数分で決めることになるので、事前に候補を選んでおく(本人だったら事前に契約するのもあり?)のもいいかもしれません。特にこだわりがないなら「病院で数分で決断」でも良いかもしれませんけど。

 

ちなみに、おじいちゃんが交わしたこの契約、しっかり伯母も私も適用範囲なので、私達が万が一の場合は、こちらにお世話になるのかなぁ~。一体、いくら前金を払ったんだろ?

 

そうそう、おじいちゃんの葬儀にかかった費用は、おじいちゃんの生命保険と頂いたお香典でほぼ完済。老人ホームの費用といい、お葬式代といい、ほんと、おじいちゃんは全て自分のお金で対応し、家族としては尊敬の一言です。

 

私もこうありたいですね!

 

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