相続税6 不整形地補正率を知る
<2021年8月25日 私から次男へのレター>
考えやすい土地価格の「調整」が終りましたが、いよいよ一番面倒な調整をします。
正方形や長方形の土地なら全く加味する必要はないのですが。。。
今までは間口や奥行、道路に面した部分などを考慮し、使い勝手が悪いと「補正(価格が低くなる調整)」、使い勝手が良いと「加算(価格が高くなる調整)」が入りました。
でも、そこには土地の形の「複雑さ」、「歪み」は全く考慮されず。。。
前回も述べましたが、奥行も「面積 ÷ 間口」という大雑把な計算ですし。。。
そして、いよいよこの「歪み」を鑑みた「調整」が入ります。
やり方は、ちょっと複雑。
- まず、法務局で入手した、測量図済の面積をx 平方メートルとします。
- 次に、土地の間口を低辺(aメートル)とし、そこから直角で最も遠い土地の端の点を高さとし、距離(bメートル)を中学の時に習った製図の方法で測ります。
- この縦と横の長さで、歪みの無い理想的な土地(正方形、長方形)だった場合を想定し、面積であるa × b =y 平方メートルを算出しておきます。
- で、この歪んだx 平方メートルと、歪んでないy 平方メートルを使って「歪みの割合」数値化します。つまり差分である(y- x)平方メートルが「歪み部分」(これを「かげ地」といいます)を算出します。
- 以上、「歪の割合」は、理想的な面積であるy 平方メートルに対する「歪み部分」の面積である(y- x)平方メートルですので、(y- x)/yとなります(これを「かげ地割合」といいます)。
- この「かげ地割合」によって補正率が決まります。つまり、「かげ地割合」が大きければ大きい程、歪んだ土地なので、補正率が高い値(土地が安くなる調整)になり、小さければ小さい程、理想の形の土地なので、補正率が低い値になります。
これはなかなか理解できにくいと思いますが、レターのイラストを見ながら考えると、やはり「なるほど、なるほど」となります。
めでたく、この歳になって初めて中学で習った製図の知識が威力を発揮したのでした!
でも、この「かげ地割合」。。。法務局の資料にも算出して貰えないですかね。。。素人の手で、しかも中学時代に習った製図の方法での算出でいいのでしょうか?
この方法、実は大学の友人に税理士がおり、聞くと同じように製図でざっと計算しているそうです。補正率の値の変わり目になるような「かげ地割合」になる場合だけ、かなり正確に製図を作成するそうですが、補正率の値が変わらない「かげ地割合」の幅の中に入っているのであれば正確に引く必要はないですよね。。。
相談した税務署でも「こちらで最終的には確認します」との事だったので、恐らくこんな感じで審査に緩急を付けながら補正率を決定しているのに違いないと想像します。
それにしても、この一連の補正率、加算率のルール、誰がどんなデータを基に策定したのでしょうか?? 多くの専門家が「こっちの方が正しい、あっちの方が正しい」と、数ある提案、意見を聞きながら、よくこんな複雑なルールを取りまとめられたと、本当に感心してしまいます。
さて、話は変わりますが、土地を売買する場合は、不動産業者は全く違う方法で土地の価値を算出します。
上記ルールももちろん参考にしますが、各社独自の基準を使って「調整」し、さらに「駅に近い」とか、「役所や学校が近い」とか、「閑静な住宅地」とか、「日当たりがいい」とか、「夏に打ち上げ花火が見れる」とか、「人気のスポット」とか。。。そういう、本当の意味での「需要=ヒトの満足度?」によって価値が設定されるのです。
で、さらに買手が競争するので価格が吊り上がるという仕組み。。。
この吊り上げられた土地の価値で相続税を計算されたら確かにえらい事になりますね。。。
要は、相続の際は価値を出来るだけ低く見積もりたいのですが、売却する際は高く見積もりたいという人間の性。。。なんだか複雑です。。。でも背に腹はかえられませんね。。。
相続税は払いたくないけど、資産としては高く評価されたい(笑)
計算しながら矛盾するやましい自分の心に少々がっかりするのでした。。。
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