相続税2 銀行口座の現金資産
No. 196 <2021年8月11日 私から長男へのレター>
まずは銀行に預けている預貯金についてお話を始めます。
「資産」としては最も分かりやすいですよね?
以前のエピソードにも書きましたが、銀行といところは最もガードが固く、基本的に貯金をしている本人としか話をしてくれません。
これは何を意味するかというと、おじいちゃん(父)が介護下で外に出られないだろうが、認知症で話が出来ないだろうが、例え家族であっても代理での取引はしないといことです。
銀行は犯罪から預金者を守るという非常に大切な責務を担っているのです。
一方、ATMでの引き出しは銀行側にはどうにもならず。。。
家族だろうが他人だろうがパスワードを知っていればいつでも取引が可能です。
よって、我が家もおじいちゃんの老人ホーム費用や身の回りの生活費の確保のため、全ての預金通帳を把握、管理し、忘れてしまっていたATMのパスワードも、ギリギリのところで本人の同席の下、銀行にて変更が出来ていたのでした。
さて、一昔前まで、「人が亡くなると、その人の銀行口座が即座に凍結する」という話を聞いてましたが、実はこれは噂に過ぎず。。。銀行が本人の死亡を確認しない限り凍結はありえません。よって、亡くなった後も葬儀代などはATMで自由に引き出せたのでした。
昔は新聞(特に地方版?)の死亡欄等にお名前が公表されたり、葬儀屋や役所から情報が流れたり(本当かどうかは誰も話してくれません。。)など、口座凍結のタイミングがいろいろあったそうですが、今は個人情報保護法により、ほぼほぼ銀行側が自主的に知る事はなくなったのです。
銀行が死亡を確認できる唯一のタイミングが、遺族のパスワードの問い合わせとのことです。通帳では本人しか引き出せないので、カードでって事になるのですがパスワードが分からない。。。ATMでいろいろ試してロックがかかる。。。銀行員に相談。。。名義人が亡くなっていることが判明。。。これが口座凍結のパターンです。
なのでパスワードはしっかり確認しておきましょう!
さて、銀行口座の凍結は、法定相続人だけでなく、それ以外の方が不用意に大金を引出し、使い込むことによって資産を失うことを防ぐのが目的ですが、相続税の計算は亡くなった日の預金額でスタートするので、利用目的が葬儀や、その他、故人の請求書処理等であれば、後で辻褄を合わすことが可能なので全く問題ありません。
むしろ、遺族がそういった請求が支払えないといった事の方が問題ですよね。
また、不良相続人が使い込み&返済できない場合もあるので、誰が通帳を管理するか?その方の適正なども十分注意が必要ですね。
なお、通帳を預かった以上、介護中にATMから引き出した預貯金については、理由をきちんと通帳に記載しておくことを強くお勧めします!特に大金の場合は請求書&領収書も保管しましょう!
理由は次の2つになります。
・法定相続人が複数いる場合、他の相続人から「預貯金を使い込んでいるのではないか?」といった疑義を受けさせないようにする必要があります。相続での争議・調停にあがる典型的なパターンです。
・家電購入、介護用器具、同居のためのリフォームなどの高額利用の場合、金額が大きいと税務署から「贈与」と疑義を受ける可能性があります。相続人らが相続税対策で資産を移動していると認識され、脱税(本当にそれを購入したのか?そのために使ったのか?)の疑いを掛けられる典型的なパターンです。
上記トラブルは「相続税対策あるある」なので要注意ですね!
なお、自宅にある通帳以外に実は預金があるか否かも、銀行や郵便局にお願いすれば有料で調査してくれます。
我が家はおじいちゃんが元気なうちに通帳のチェックは済ませていたので、「他に通帳はない」と断言できたのですが、遠方のご両親などのケースは、なかなか把握できてませんよね?
元気なうちに確認しましょう!
そして、絶対にあるはずだった通帳がもし無かった場合は調査が可能ですね。
上記、少々、がめついようですが、本人の現金資産を完全把握しておけば、今後の介護生活の設計には欠かせない情報になりますし(介護する方が負担すべきではありません!)、かつ亡くなった後は相続税対策(有効に使うのはご両親様のご遺志のはずです!)に必須の数字になりますのできちっとやっておきましょう!
ちなみに、相続税の手続きが終了した後に新たにポロっと出てきた資産は、「相続税の修正申告」が必用となります。。。膨大な手続きを再度繰り替えさなくてはならなくなるので、ここは緻密にやっておきましょう!
ざっとですが、ここまでが今回の銀行口座編です!
・故人の通帳は生前にきっちり調査しておきましょう(資産の把握)。
・元気なうちに通帳のカードを作り、パスワードを共有しておきましょう(銀行口座凍結防止)。
・介護中に口座から利用したお金は、請求書&領収書と共に、通帳にもメモを残しておきましょう(他の法定相続人あるいは税務署とのトラブル回避)。
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