おじいちゃん介護のお手紙メモリー

おじいちゃん介護のお手紙メモリー

数年間に渡る父の介護が、父の死去とともに終わり早1年、いろいろあった出来事をイラスト・レターにしたため、介護に協力してくれた3人の子供たちにちょっとずつ送ることにしました。ただ送ってももったいないので、ブログに記録し、同じような介護生活を過ごしている方々に紹介しようと思いました。いつまで続くか、どこまで書けるかわかりませんが、笑いあり、苦労あり、涙ありの介護生活をどうぞご覧ください。

相続税8 小規模宅地等の特例で土地価格8割減額

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No. 202

<2021年9月1日 私から長男へのレター>

さて、都会にある土地の価格は、同じ面積でも郊外の土地よりも高額になるのは仕方ありません。前回で触れましたが、不動産業者が考える売買価格は需要と供給のバランスで決まりますので、好条件であれば価格が吊り上がり、それに引きづられて路線価も上昇します。

 

また、20年程前でしょうか、土地バブルで土地価格が高騰し、相続税が膨大になったため土地を切り崩して相続税に充てる、あるいは土地を全部売却して引っ越さなくてはならない、そして相続人が多い場合は新しい家を購入することもできないなど。。。いろいろと社会問題があったかと思います。

 

実は、そんな最悪の事態を条件によっては避けることのできる大事な制度があります!

 

そう、「小規模宅地等の特例」です!

 

条件に合致すれば、なんと土地価格が8割減額されるという優れものです!

 

これは先にご説明したように、相続税の為に住む場所が無くなってしますような事態を避けるための制度であり、例えば身寄りのない未亡人などには、本当に重宝される制度です。

 

条件は以下の通り。ここでは多くの方が利用されるであろう「宅地」の場合を記載します。

  • 面積は330平方メートル以下の土地が対象です。
  • 「同一生計」で「同居」していた「親族」である相続人である土地が対象です。

 

面積の制限は致し方ないにせよ。。。

「同居」というKey Wordが非常に重要になります。

みなさんの中にはこれに該当してないかもしれないと不安になる方がたくさんいらっしゃると推察します。

 

実際、我が家の場合も、おじいちゃん(父)との同居はわずか3年間強で、しかも後半は老人ホームで同居してませんでしたので、これは果たして同居なのか? また我が家は3世帯住宅(私達、おじいちゃん、伯母でそれぞれ同一住所で世帯主)でしたので、果たしてこれを「同一生計」と言っていいのだろうか?

 

この制度に乗れるか乗れないかで支払う相続税が大きく変わるので、とても緊張する調査になりました。。。ちょっと間違えたらたいへん!ヤブヘビな事もしたくない!

 

で、ネットを調べると嫌な文言がいっぱい溢れてます!

「税務署では絶対に相談しないでください。まずは私達、税理士にお任せください!」

「申告内容を疑われると、税務調査が入ります。まずは私達、税理士にお任せください!」

相続税の申告は素人には困難。まずは私達、税理士にお任せください!

 

また、ネットにもいろいろと解釈が書いてるのですが、ネットを過信するわけにもいかず、書いてある条件も微妙に異なったり。。。

 

私のケースでちょっと良かった点は大学の友人に現役の税理士が3人いた事でした。

ただ、税理士さんにも専門があるそうで、法人専門だったり、自営業者専門だったりと。

その中で一人、一般の相続を専門とする方がいたので、いろいろと相談をしました。

 

結論は以下の通り。

  • 2世帯住宅、3世帯住宅でも同じ住宅内であれば同居とみなされる。
  • 老人ホームの入居の場合も、相続人がその住宅に住んでいるのであれば同居とみなされる。
  • 同居の証明は住民票で確認される。同居の期間は特に規定はないが、時々様子を見る程度ではNG。

 

ということで、我が家はこの制度が使えると確信したのでした(税務署での無料相談の話は、後程触れます)。

 

みなさん、お気付きかと思いますが、実はこの制度で土地の評価価格が「8割減」になる事が分かった時点で、多くの方に相続税が発生しない状況になるのです。

これは「ホッ」とする瞬間!

 

一方、既に片親で、かつ遠方に住んでいて、親族の誰も同居していない方は非常に不利な状況になります。。。

 

制度自体が、「資産の維持・確保」を目的としたものではなく、「今まで一緒に住んでいた方が相続税の支払いで住むところを失う事を防ぐ」というものですので、致し方ないといえば致し方なしです。。。

 

もし「資産の維持・確保」をしたい場合は、相続人のどなたか一人が同居している事実が必要になるので、勤務地を変える(大企業の場合は介護を理由に勤務地の変更も考慮されるかもしれません)という方法もあるかもしれません。

土地そのものに大きな価値が無い場合は、このようなお金絡みの嫌な心配ありませんが。。。

 

なお、この条件の一つ「親族」は非常に重要な定義になります。

基本的に「血縁関係」が無いと親族になりませんので、例えば亡くなった方が再婚していたとして、相手の連れ子が実子でない場合は「親族」にはなりません。法定相続人にもなれず、ここにある「親族」にもあたらないので、いくら同居して、いくらお世話をしても「同居した親族」にはならないのです。

 

こちらも、後程、詳しくお話ししたいと思います!

 

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相続税7 路線価で土地価格を算出

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No. 201

<2021年8月28日 私から娘へのレター>

さて、この回でいよいよ土地の価格が決まります!

みなさん、今までずいぶんと退屈なお話にお付き合いいただき、ありがとうございました!

 

既に経験された方や税理士さん、不動産の方からみたら、当たり前の話だったり、ところどころ間違えてたりと、冷や冷やされてお読みになられてたかと思いますが、素人投稿のご愛嬌ということで、どうかお許しくださいませ。。。

 

さて、相続税に用いる土地価格の計算の最期に登場するツールは「路線価」です。

毎年7月に発表になるので、1月に亡くなったおじいちゃん(父)の相続税の申告は、この7月の路線価発表まで待つことになったのでした。

相続税の申告は没日から10ヵ月なので、おじいちゃん(父)の場合は11月。路線価を知ってから残り4ヵ月間で申告しなければならないため、7月までにこれまで紹介した「補正率」やら「加算率」を一生懸命算出していた訳です。。。心配性な私は仕事が早い。

 

そして迎えた路線価の発表日。

こちらもネットで簡単に検索できます。

地図上の自分の家の場所を探すと、土地に面した道路に「540」とか「760」とか数字が記載されてます。これはそれぞれ道路に面した土地の値段で、それぞれ「540万円/m」、「760万円/m」となります。

 

なので「去年から増加してないといいなぁ~」とか、「あまよくば安くなってたらいいなぁ~」とか、「でも、最近アベノミクスで景気もいいし跳ね上がってたらやだなぁ~」とか、「いやいや庶民の生活を考えたら跳ね上げることはしないはずだよなぁ~」とか。。。

路線価が発表されるまでの間、ウジウジウジウジウジ考えていたのでした。

 

また、この図をみると近所のどこが「ビル街地区」で、どこが「商業地区」で、どこが「工場地区」なのかが分かります。実はこれまでの「補正率」や「加算率」の数字は、勝手な思い込みで全て「普通住宅地区」を選択していたのですが、この図を見て初めて「普通住宅地区」であることを確認しました。。。

 

違ってらたいへん!

いや~、結構、真面目にやってたつもりですが、あちこちいい加減な所(よく確認してないところ)で露呈しますね。。。でもこれがまさにこれがノウハウなんでしょうね。

 

さて、我が家は角地。ということは2つの路線価をみなくてはなりません。

そしてそれぞれの路線価が同じとは限りません。

メイン道路の方がやはり高く設定されています。。。

 

あれ、どっちで計算するの? って事になりますよね?

 

はい、計算方法をご紹介します。

まず、下記の4つの値を掛け合わせます。

  • 間口部分の路線価(土地と接している面の一番長い部分)
  • 奥行部分の路線価(もう一方の部分)
  • 奥行補正率(←前回、調べたやつ)
  • 路線影響加算率(←前回、調べたやつ)

 

この掛け算で1平方メートル当たりの価格(円/平方メートル)が算出されます。

 

さらに、これに「不整形補正率」を掛けたものが、私の土地の本当の1平方メートル当たりの価格(円/平方メートル)となります。

 

最期に法務局で入手した土地面積を掛ければ、めでたく土地の価格が算出されます!

 

ふ~~

やっと、おじいちゃんの財産の一部であり、かつ最大の土地の価値(相続税上の)が判明しました!

 

自分にお疲れ様です!

 

で、思うのですが。。。

今まで調べた「補正率」とか「加算率」はほぼ、未来永劫変更なしなので、「固定資産税通知書」に相続税用の土地評価格を記載してよ~っと思いますよね。。。

 

税理士さんの仕事が無くなっちゃうからかな。。。

 

そして、この算出した数字を見て、「いったい、いくらぐらい相続税を払わせられるのだろうか。。。」と一抹の恐怖も覚えるのでした。。。

 

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相続税6 不整形地補正率を知る

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No.200

<2021年8月25日 私から次男へのレター>

考えやすい土地価格の「調整」が終りましたが、いよいよ一番面倒な調整をします。

正方形や長方形の土地なら全く加味する必要はないのですが。。。

 

今までは間口や奥行、道路に面した部分などを考慮し、使い勝手が悪いと「補正(価格が低くなる調整)」、使い勝手が良いと「加算(価格が高くなる調整)」が入りました。

 

でも、そこには土地の形の「複雑さ」、「歪み」は全く考慮されず。。。

前回も述べましたが、奥行も「面積 ÷ 間口」という大雑把な計算ですし。。。

 

そして、いよいよこの「歪み」を鑑みた「調整」が入ります。

 

やり方は、ちょっと複雑。

  • まず、法務局で入手した、測量図済の面積をx 平方メートルとします。
  • 次に、土地の間口を低辺(aメートル)とし、そこから直角で最も遠い土地の端の点を高さとし、距離(bメートル)を中学の時に習った製図の方法で測ります。
  • この縦と横の長さで、歪みの無い理想的な土地(正方形、長方形)だった場合を想定し、面積であるa × b =y 平方メートルを算出しておきます。
  • で、この歪んだx 平方メートルと、歪んでないy 平方メートルを使って「歪みの割合」数値化します。つまり差分である(y- x)平方メートルが「歪み部分」(これを「かげ地」といいます)を算出します。
  • 以上、「歪の割合」は、理想的な面積であるy 平方メートルに対する「歪み部分」の面積である(y- x)平方メートルですので、(y- x)/yとなります(これを「かげ地割合」といいます)。
  • この「かげ地割合」によって補正率が決まります。つまり、「かげ地割合」が大きければ大きい程、歪んだ土地なので、補正率が高い値(土地が安くなる調整)になり、小さければ小さい程、理想の形の土地なので、補正率が低い値になります。

 

これはなかなか理解できにくいと思いますが、レターのイラストを見ながら考えると、やはり「なるほど、なるほど」となります。

 

めでたく、この歳になって初めて中学で習った製図の知識が威力を発揮したのでした!

 

でも、この「かげ地割合」。。。法務局の資料にも算出して貰えないですかね。。。素人の手で、しかも中学時代に習った製図の方法での算出でいいのでしょうか?

 

この方法、実は大学の友人に税理士がおり、聞くと同じように製図でざっと計算しているそうです。補正率の値の変わり目になるような「かげ地割合」になる場合だけ、かなり正確に製図を作成するそうですが、補正率の値が変わらない「かげ地割合」の幅の中に入っているのであれば正確に引く必要はないですよね。。。

 

相談した税務署でも「こちらで最終的には確認します」との事だったので、恐らくこんな感じで審査に緩急を付けながら補正率を決定しているのに違いないと想像します。

 

それにしても、この一連の補正率、加算率のルール、誰がどんなデータを基に策定したのでしょうか?? 多くの専門家が「こっちの方が正しい、あっちの方が正しい」と、数ある提案、意見を聞きながら、よくこんな複雑なルールを取りまとめられたと、本当に感心してしまいます。

 

さて、話は変わりますが、土地を売買する場合は、不動産業者は全く違う方法で土地の価値を算出します。

 

上記ルールももちろん参考にしますが、各社独自の基準を使って「調整」し、さらに「駅に近い」とか、「役所や学校が近い」とか、「閑静な住宅地」とか、「日当たりがいい」とか、「夏に打ち上げ花火が見れる」とか、「人気のスポット」とか。。。そういう、本当の意味での「需要=ヒトの満足度?」によって価値が設定されるのです。

で、さらに買手が競争するので価格が吊り上がるという仕組み。。。

 

この吊り上げられた土地の価値で相続税を計算されたら確かにえらい事になりますね。。。

 

要は、相続の際は価値を出来るだけ低く見積もりたいのですが、売却する際は高く見積もりたいという人間の性。。。なんだか複雑です。。。でも背に腹はかえられませんね。。。

相続税は払いたくないけど、資産としては高く評価されたい(笑)

計算しながら矛盾するやましい自分の心に少々がっかりするのでした。。。

 

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相続税5 土地評価の調整率を知る

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No. 199

No. 199 <2021年8月21日 私から長男へのレター>

いよいよ土地価格の「調整」に入ります。相続税の手続き向けの「調整」ですが、読めば読むほど「なるほど、なるほど」と思う算出方法です。

 

1つ目は「奥行価格補正率」。

道に接する部分の長い方を間口といい、それに対する奥行の長さで「調整」します。正方形に近い程、間取りの多い家を建てやすく、駐車場や庭なのどの設置がしやすいですよね?

一方、奥行きが長いほど、短いほど、そういった工夫が困難で相対的に価値が低くなります。つまり細長い形の土地ほど価格が安くなるように「調整」する仕組みです。「不便な土地はなかなか売れない=安価になる補正」ということになります。

 

ひし形だったり台形だったり歪な土地はどれが奥行?ってなりませんか?

実はとても簡単に算出します。前回、ご説明した土地の面積を単純に間口で割るのです。それをここでの計算で使う「奥行」と定義するのです。

 

こんないい加減な計算で良いのでしょうか?

良いのです。。。(笑)

まずは大雑把にこの数字を使って条件を固定し、その後、加味されていないいろいろな条件に付いて複数の「調整」が入ってきますので、ご安心(?)ください!

最初、私も知らずに定規を片手に線を引いて「このへんかなぁ~」と「奥行」を勝手に算出していたのですが、税務署での相談時に税理士さんに教えてもらいました。拍子抜けでしたね(笑)。

 

2つ目は「側方路線影響加算率」です。

土地が2面以上の道路に面している場合の加算率です。

道路に多く面している土地の方が駐車場の設置や、玄関の設置の自由度が大きく、買手としては魅力的ですよね?なので十字路、T字路、L字路の場合は調整で加算される「調整」が入ります。

ちなみに土地の表と裏の二方が道路に面している場合は「二方路線影響加算率」が掛かります。こちらも便利な土地になりますよね?

 

我が家は地図上では「T字路」の角地でした。

なので、加算表を見ると0.03(土地評価格×1.03)。

ところが、今回法務局から入手した資料をみると、道路を挟んだ向こう側がなんと全部私有地であることが判明したのです!

つまりT字の一方の道が私有地だったので、「L字路」の角地だったのです!

よって加算表を見ると0.02(土地評価格×1.02)。ちょっとだけ安くなった?

 

このT字路の入り口の電信柱に「私有地につき通り抜け禁止」という看板があったのですが、昔から「これ何だろう?」と思ってました。「そういう事だったのかぁ。。。」って。

 

法務局の図面を見ると、かなりの面積が私有地になっています。

この辺りは江戸時代に武家屋敷があったので、その末裔の方の土地?今住んでいる方達は借地権付きの土地として購入し家を建てた?

ほんとにびっくり。。。こんな事が無ければ一生知る事は無かったでしょう。。。

 

とりあえず、おじいちゃん(父)の土地に該当したのでは上記2つですが、ガイドを読むと他にもいろいろあるので主なものを紹介します。

 

「間口狭小補正率」:道路に面した間口から通路を通ると奥に大きな土地がある場合です。こちらも買い手としては駐車場が設けられない等、不便ですよね?

 

「奥行長大補正率」:細長すぎる土地です。「奥行価格補正率」でも説明ましたが細長過ぎると価値が下がるようです。間口に対する奥行の比でさらに「調整」がされます。

 

「がけ地補正率」:崖の近くの土地です。昨今の大雨による土砂崩れのリスクを考えると自明ですね。

 

実は上記で紹介した「調整」の数字は土地の「地区区分」によっても、さらに個別に設定されています。

 

普通の我々の住む住宅の多くは「普通住宅地区」ですね?我が家もそう。

でもよく考えたら色々ありますし、それぞれの土地周辺について行政が指定しています。

「ビル街地区」、「高度商業地区」、「繁華街地区」、「中小工場地区」、「大工場地区」などは多少細長くても需要があるのであまり軽減されません。「大工場地区」でみると、「間口狭小補正率」が小さい程、安価な調整が入ります。きっと、大型トラックが横付けしにくいからですね。

 

「調整」はさらに続きます。

もう少しお付き合いくださいませ!

 

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相続税 4 土地の面積を知る

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No. 198

 <2021年8月19日 私から娘へのレター>

次に戸建て家族にとっては最大の資産になる土地となります。

これが高額だと、びっくりするほどの相続税を支払わなくてはならないので、結構心配ですよね。

バブル景気の土地価格が高騰時には、相続税が払えず、住み慣れた土地を売って、地方へ引っ越すという社会問題もありました。

 

さて、土地の価格は、近所の分譲住宅の価格に左右されると思われがちですが、相続税の計算では全く関係ありません。需要と供給で決まる市場価格とは別次元で算出されます。

 

この相続税での土地価格には、いくつかの「調整」が入り、それには土地の面積の他に、土地の形状や道路に面した部分の長さなどの情報が必要となります。よって、「固定資産税納税通知書」に記載されている「価格」情報のみではだめです。

 

ということで、ここでは相続する土地の形状など、「調整」に必要な情報をどのように手に入れるかを紹介します。

 

ご自宅の形状ですが、住んでいるので何となくご存知かと思います。綺麗に整地された分譲住宅のように正方形や長方形の区画であればいいのですが、おじいちゃん(父)から相続を受ける土地は歪な形状で少し難航しました。

 

調査する方法としては大きく3つほど。。。

1つ目。法務局に問い合わせのが簡単です。法務局のHPで入手可能です。手数料は364円。打ち出した資料には三角測量(三角形の組み合わせで面積を測量する方法)の詳細もあります。「固定資産税納税通知書」に記載されている面積の根拠となる資料と思われ、事実、そこに記載されている土地面積と完全一致でした。

 

2つ目。ご自宅を建てた時に作成された「求積図」です。「建築確認申請」で必要な書類の一つで、その図面には「調整」に必要な情報は全て記載されています。ここにも三角測量の詳細があります(法務局とは違った三角測量でしたが。。。)。こちらは家にあったデータなので私にとっては無料ですね。

 

3つ目。プロの測量士による測量。土地売買の際には必ず不動産屋が実施し、最新の詳細データを買い手側にきちんと提示するものです。なぜ法務局の図面を利用しないのかはわかりませんが、隣家の屋根や壁が境界をはみ出てないか、また逆に隣家にはみ出してないか。。。不動産屋はそのあたりもきちんと調査し問題解決しているようです。プロの仕事となりますので、だいたい50万円/件ぐらいでしょうか。

 

さて、私の頭の中では以下の考えが巡ります。

  • 相続税の算出なので、土地売買と同様にプロの測量士による面積算出が必須なのかなぁ~?高額だし嫌だなぁ~。
  • 待てよ、公的な資料として提示されている法務局の図面なら相続税の算出根拠として十分なはず!こちらが推しかなぁ~?
  • 求積図は自宅をリフォーム時に使ったのでこれも使えるな~。でも、建築用の測量なので最後の最後に利用かな~?

 

こんな感じだったので、1つ目の法務局のデータを利用して、税務署にこれでいいのかを相談をしようと準備を始めました。

 

ところが、インターネットで取り寄せた図面が、めっちゃ小さい。消しゴムぐらいの小さい絵に、面積と測量値が記載されています。これだと、あとで説明する「調整」の計算が難しい。

 

また、理由は不明ですが、拡大コピーして定規で測ってみると、2つある道路に面した部分=「間口」の距離の比が、図面に記載の数字と図面を定規で測った時の実寸の数字で合わない。。。つまり法務局の図面が微妙に歪んでいる? となると、相続税の計算で必要な「調整」の算出ができない?

 

試しに2つ目の家にあった「求積図」を同じように定規での実寸の数字と、記載されている数字の比を比べると、こちらは完全一致!「求積図」はどうも歪んでない事が判明!

 

さらに、もう一つ大問題が!

「求積図」に記載の間口距離と、法務局の図面に記載の間口距離が合わない。当然、記載面積も異なり。法務局の図面の方が大きい。

 

さぁ、どうする?

 

苦肉の策ですが、歪んでいない「求積図」の図面に、固定資産税の根拠となっている法務局の図面の数字を入れて「調整」を行うことにしました。。。

 

これは、法務局の記載の面積の方が大きかったので、私にとって若干不利になる計算になるからです(面積が大きい方で計算=土地の価格は高く算出=相続税は増える方向)。

 

「こんないい加減な方法で良いのか?」とか、「やはりプロ測量士にお願いする必要があるのか?」とも思いましたが、思い切って地元の税務署の「相続税の相談窓口」で相談すると、「法務局の図面とお持ちの求積図を添付して、計算の根拠を書いてくれれば問題ないです。最終的な調整は税務署でします。差異があれば修正申告です」とのこと。。。

 

さらに、笑顔で「今、伺った方法で恐らく大丈夫ですよ」っとの嬉しいコメントも(正式見解ではないけど)!

 

ということで、チャレンジ早々に難題に直面という事態に。。。

 

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相続税3 各種年金、保険中止による収支

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No. 197

No. 197 <2021年8月14日 私から次男へのレター>

今まで恩恵を受けていた各種年金と、介護保険後期高齢者健康保険はどうすればいいでしょうか??

 

まずは年金ですが、こちらも以前の介護編で記載してましたが、どのような年金に加入しているかをきちんと把握しておく必要があります。おじいちゃん(父)の場合は国民年金企業年金、遺族年金の3つでした。

 

それぞれの年金窓口に電話をして、おじいちゃんが亡くなったことを伝えると、規定の書式が送付され、年金停止の手続き、そして亡くなった日を鑑みて受け取れるはずだった未支給金をきちんと受け取れます(これは資産になります!)。

 

次に保険ですが、介護保険後期高齢者健康保険も同じです。それぞれの窓口に電話して、亡くなった旨をお伝えすると同じように規定の書式が送られてきて、保険の適用停止の手続きをしてくれます。介護保険と健康保険は保険料を支払ってますので(年金から棒引き)、過払い保険料についてはきちんと還付されます。また、亡くなった月の最後の利用者負担上限超過還付(月当たりの医療費の上限を超えた場合に、その差額が還付される制度)もちゃんと受けれますのでご安心ください!(こちらも資産になります!)

 

なお、おじいちゃんの場合は追加で保険会社の「けが保険」にも入っていたので、こちらも停止の手続きですね!結局、ケガをせず、全く使用することは無かったのですが、怪我無く喜ぶべきか、完全掛け捨てになってしまい悲しむべきか。。。

 

逆に保険料の未支払い分もあった場合は、後日、その分の請求が参りますので、こちらはおじいちゃんの口座から支払います。ご家族で肩代わりして、相続の際に返金するのもOKです。相続税の手続きでは「債務」として計算されますので、こちらも忘れずにメモなり請求書や領収書などを保管しておきましょう!

 

 

それにしても、この作業、単純作業のようですが、毎日何人もの方が日本中で亡くなる中、過払い金の計算やら、未支給分の給付やら、還付やら。。。よくもうまあお役所は正確に計算するものです。。。私達が提出する書類の数字を転記するのでしょうが、記載ミスや訂正など、「1日当たりこのお役所仕事ってどんなに膨大なの!」って思ってしまいますね。専任の方がいるのでしょうか?

こんな風に考えると、多くの方が個人情報漏洩を心配して反対の多いと言われている「マイカード」で全てが自動になってくれるといいなぁ~っと心底思ってしまいます。

 

亡くなった事実と没日を1度、マイナンバーを利用して「デジタル申請」すれば、年金、保険の手続きは一瞬にして自動でできそうな気がしますよね。。。銀行が連動すると口座が凍結されてしまうので嫌ですが(笑)。。。そんな時代も近々にくるのでしょうかね?

 

しかし、紙ベースの「アナログ申請」にも良い点もあります。

それぞれの窓口にお電話すると、常套文句、リップサービスとは思いますが。。。

みなさん「お悔やみ申し上げます」とか、「それは大変でしたね」とか、「いろいろと手続きがありますが、お身体にはお気を付けください」とか。。。みなさん、温かいお言葉を掛けてくれ、ちょっと嬉しい気持ちになりました。

 

おじいちゃんが定年まで働いた会社の総務部の方からも、労いの言葉を。。。おじいちゃんの会社の方と話すなんてことは、これで本当に最後になっちゃうんだと、おじいちゃんの代わりにちょっとおセンチになってしましまいますね。。。

 

デジタルもアナログもどちらも捨てがたいです。。。(笑)

 

そういう意味で一つお話を紹介。

実は、このブログの存在を知った会社の同僚が、お昼休みの社員勉強会で是非講演して欲しいとの依頼があり、4~7月にかけて「断捨離編」から「介護編」、そして「看取り編」を4回に分け、4ヵ月に渡って各50分間の講演をしました。もちろんイラスト付きです!

 

インスタやブログでは、イラストと文字だけで皆さんに紹介してますが(デジタル)、講演会となると実際に私の声で、私の言葉を使って、私の表情付きで解説するので(アナログ)、これが自分にとってはとても良い経験になったのでした。。。

質疑応答もありますし、講演中に思い出してポロっと出てくる言葉や感情は、なかなかイラストと文字だけではカバーできない部分もあったりするんだなぁ~っと。。。

 

なるほど、声と表情で一緒に伝えるという手段って、なかなかいいなって感じです。

YouTubeが流行るのはこういうことかぁ~っという気付き。

 

なにより、講演の様子を撮った録画(コロナ禍なのでリモート配信)をかみさんや子供たちに見せることができたのが良かった。。。

おじいちゃんが亡くなって、かれこれ3年が経ちますが、この講演録画を観て子供達は「そうそう!こんなことあった、あんなことあった」と懐かしんでいましたし、かみさんは毎回観るたびに号泣でした(笑)

 

いつかYouTube版もやってみようかしら?

 

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相続税2 銀行口座の現金資産

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No. 196

No. 196 <2021年8月11日 私から長男へのレター>

まずは銀行に預けている預貯金についてお話を始めます。

「資産」としては最も分かりやすいですよね?

以前のエピソードにも書きましたが、銀行といところは最もガードが固く、基本的に貯金をしている本人としか話をしてくれません。

 

これは何を意味するかというと、おじいちゃん(父)が介護下で外に出られないだろうが、認知症で話が出来ないだろうが、例え家族であっても代理での取引はしないといことです。

銀行は犯罪から預金者を守るという非常に大切な責務を担っているのです。

 

一方、ATMでの引き出しは銀行側にはどうにもならず。。。

家族だろうが他人だろうがパスワードを知っていればいつでも取引が可能です。

よって、我が家もおじいちゃんの老人ホーム費用や身の回りの生活費の確保のため、全ての預金通帳を把握、管理し、忘れてしまっていたATMのパスワードも、ギリギリのところで本人の同席の下、銀行にて変更が出来ていたのでした。

 

さて、一昔前まで、「人が亡くなると、その人の銀行口座が即座に凍結する」という話を聞いてましたが、実はこれは噂に過ぎず。。。銀行が本人の死亡を確認しない限り凍結はありえません。よって、亡くなった後も葬儀代などはATMで自由に引き出せたのでした。

昔は新聞(特に地方版?)の死亡欄等にお名前が公表されたり、葬儀屋や役所から情報が流れたり(本当かどうかは誰も話してくれません。。)など、口座凍結のタイミングがいろいろあったそうですが、今は個人情報保護法により、ほぼほぼ銀行側が自主的に知る事はなくなったのです。

 

銀行が死亡を確認できる唯一のタイミングが、遺族のパスワードの問い合わせとのことです。通帳では本人しか引き出せないので、カードでって事になるのですがパスワードが分からない。。。ATMでいろいろ試してロックがかかる。。。銀行員に相談。。。名義人が亡くなっていることが判明。。。これが口座凍結のパターンです。

 

なのでパスワードはしっかり確認しておきましょう!

 

さて、銀行口座の凍結は、法定相続人だけでなく、それ以外の方が不用意に大金を引出し、使い込むことによって資産を失うことを防ぐのが目的ですが、相続税の計算は亡くなった日の預金額でスタートするので、利用目的が葬儀や、その他、故人の請求書処理等であれば、後で辻褄を合わすことが可能なので全く問題ありません。

むしろ、遺族がそういった請求が支払えないといった事の方が問題ですよね。

また、不良相続人が使い込み&返済できない場合もあるので、誰が通帳を管理するか?その方の適正なども十分注意が必要ですね。

 

なお、通帳を預かった以上、介護中にATMから引き出した預貯金については、理由をきちんと通帳に記載しておくことを強くお勧めします!特に大金の場合は請求書&領収書も保管しましょう!

 

理由は次の2つになります。

・法定相続人が複数いる場合、他の相続人から「預貯金を使い込んでいるのではないか?」といった疑義を受けさせないようにする必要があります。相続での争議・調停にあがる典型的なパターンです。

・家電購入、介護用器具、同居のためのリフォームなどの高額利用の場合、金額が大きいと税務署から「贈与」と疑義を受ける可能性があります。相続人らが相続税対策で資産を移動していると認識され、脱税(本当にそれを購入したのか?そのために使ったのか?)の疑いを掛けられる典型的なパターンです。

 

上記トラブルは「相続税対策あるある」なので要注意ですね!

 

なお、自宅にある通帳以外に実は預金があるか否かも、銀行や郵便局にお願いすれば有料で調査してくれます。

我が家はおじいちゃんが元気なうちに通帳のチェックは済ませていたので、「他に通帳はない」と断言できたのですが、遠方のご両親などのケースは、なかなか把握できてませんよね?

元気なうちに確認しましょう!

そして、絶対にあるはずだった通帳がもし無かった場合は調査が可能ですね。

 

上記、少々、がめついようですが、本人の現金資産を完全把握しておけば、今後の介護生活の設計には欠かせない情報になりますし(介護する方が負担すべきではありません!)、かつ亡くなった後は相続税対策(有効に使うのはご両親様のご遺志のはずです!)に必須の数字になりますのできちっとやっておきましょう!

 

ちなみに、相続税の手続きが終了した後に新たにポロっと出てきた資産は、「相続税の修正申告」が必用となります。。。膨大な手続きを再度繰り替えさなくてはならなくなるので、ここは緻密にやっておきましょう!

 

ざっとですが、ここまでが今回の銀行口座編です!

・故人の通帳は生前にきっちり調査しておきましょう(資産の把握)。

・元気なうちに通帳のカードを作り、パスワードを共有しておきましょう(銀行口座凍結防止)。

・介護中に口座から利用したお金は、請求書&領収書と共に、通帳にもメモを残しておきましょう(他の法定相続人あるいは税務署とのトラブル回避)。

 

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